誕生日プレゼントを手渡された時の優しそうな笑顔
鹿島や神戸、浦和でもタイトル獲得に貢献。西が今季限りでの現役引退を発表した。(C)SOCCER DIGEST
西大伍に初めてインタビュー取材をしたのは、札幌時代だ。何年のことかは失念したが、西の誕生月だったのは覚えている。8月だ。
当時、西の実妹・桜子さんが札幌のオフィシャルダンスドリルチーム「コンサドールズ」に所属していた。兄妹対談とか面白いんじゃないか? ダメ元で申請してみたら、無事に許可がおりた。
取材当日。先に部屋に現われたのは桜子さん。そして兄が登場。扉を開けて、開口一番、西はちょっと強めに言った。「誰ですか、この企画を考えたのは?」。
やばい、怒ってる? でも取材はOKが出てるし...杞憂だった。対談はつつがなく進行。桜子さんから誕生日プレゼントを手渡された時の西の優しそうな笑顔が印象的だった。
鹿島時代にもインタビューの機会に恵まれた。たしかテーマは"常勝軍団の強さの秘密"といった内容だ。その時のちょっとしたやり取りも思い出深い。
「守破離って分かります?」(西)
「いや、知らないです」
「...じゃあ、いいです」(西)
食い下がって聞けば、西は丁寧に教えてくれた。ちなみに、このくだりはしっかり原稿に反映させた。編集長からも「お前、守破離も知らねーのかよ」と呆れられた。
当時、西の実妹・桜子さんが札幌のオフィシャルダンスドリルチーム「コンサドールズ」に所属していた。兄妹対談とか面白いんじゃないか? ダメ元で申請してみたら、無事に許可がおりた。
取材当日。先に部屋に現われたのは桜子さん。そして兄が登場。扉を開けて、開口一番、西はちょっと強めに言った。「誰ですか、この企画を考えたのは?」。
やばい、怒ってる? でも取材はOKが出てるし...杞憂だった。対談はつつがなく進行。桜子さんから誕生日プレゼントを手渡された時の西の優しそうな笑顔が印象的だった。
鹿島時代にもインタビューの機会に恵まれた。たしかテーマは"常勝軍団の強さの秘密"といった内容だ。その時のちょっとしたやり取りも思い出深い。
「守破離って分かります?」(西)
「いや、知らないです」
「...じゃあ、いいです」(西)
食い下がって聞けば、西は丁寧に教えてくれた。ちなみに、このくだりはしっかり原稿に反映させた。編集長からも「お前、守破離も知らねーのかよ」と呆れられた。
そんなエピソードを思い返してみる。西のストレートな物言いや飾らない人柄に惹かれた。ピッチ上でも常に堂々としていて、冷静かつ余裕。醸し出すオーラがあった。
図抜けた武器があるとは思わないが、すべてをハイレベルにこなすプレーヤーだと思う。何でもない横パス。それ、意味あるの? でも、いつのまにか局面が前に進んでいる。攻め込むスペースができている。味方が良い状態で前を向いている。少し時間を巻き戻せば、西が絡んでいる。そんな場面がいくつもあった。
主戦場は右SB。元々は中盤の選手で、優れたテクニック、確かな戦術眼を備えている。視野を広く保つボールのもらい方、次のプレーに移行する時のスピーディな判断、敵が今、どういう状況かを見極める観察力。いずれも優れているから、DFとしても"ゲームを作る"ことができるのだろう。ドイツでプレーしていた内田篤人が、かつて「鹿島に戻ってきたら、大伍とポジションは争いたくないな。上手いからさ」と言うほどの実力者だ。
長めのクロスで鈴木優磨の得点をアシストしたことがあった。「だいたい、あのへんに、という感じ」と西は振り返ったが、もちろん適当に蹴っているわけではない。
「優磨が(ゴール前に)入っても、最近は止まっていることが多かったけど、ああやって後ろから入ってくれると、"点"じゃなくて"線"でこっちも合わせられる。上げた後にあっちが合わせるみたいな」
一つひとつのプレーに理由がある。明確な意図がある。それを体現できる技術も。
稀有な選手だと思う。現在はJFLのいわてグルージャ盛岡に所属。クラブは10月28日に、西の今季限りでの現役引退を発表した。「今シーズン残りの試合をプロとして全うします」と伝えた38歳が、20年のキャリアに終止符を打つ。
文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)
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図抜けた武器があるとは思わないが、すべてをハイレベルにこなすプレーヤーだと思う。何でもない横パス。それ、意味あるの? でも、いつのまにか局面が前に進んでいる。攻め込むスペースができている。味方が良い状態で前を向いている。少し時間を巻き戻せば、西が絡んでいる。そんな場面がいくつもあった。
主戦場は右SB。元々は中盤の選手で、優れたテクニック、確かな戦術眼を備えている。視野を広く保つボールのもらい方、次のプレーに移行する時のスピーディな判断、敵が今、どういう状況かを見極める観察力。いずれも優れているから、DFとしても"ゲームを作る"ことができるのだろう。ドイツでプレーしていた内田篤人が、かつて「鹿島に戻ってきたら、大伍とポジションは争いたくないな。上手いからさ」と言うほどの実力者だ。
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一つひとつのプレーに理由がある。明確な意図がある。それを体現できる技術も。
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