「同じ方向に矢印が向いた時が一番強い」湘南5年目の池田昌生の覚悟。100分に追いつかれ痛恨ドローの京都戦後も、下を向かず結束できるか

2025年10月20日 岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

「ここでバラバラになったらダメ」

湘南5年目の池田。京都戦でも豊富な運動量でピッチを駆け回った。写真:滝川敏之

「意思統一はできていたからこそ、悔しいです」

 池田昌生の言葉通り、ショックの大きいドローだった。

 10月19日、湘南ベルマーレはJ1第34節で京都サンガF.C.とホームで対戦した。

 湘南は29分、ハイプレスでボールを奪った中野伸哉のラストパスを鈴木章斗が決め切り、先制に成功。45+1分に相手DFの鈴木義宜が決定機阻止で退場となり、数的優位となったなかで、ボールを保持する時間も作りながら、終盤まで1点リードのまま試合を進めた。

 アディショナルタイムに突入し、勝利まであと一歩と迫ったなかで、90+10分、須貝英大の同点ゴールを許し、1-1でタイムアップ。16節の東京ヴェルディ戦(2-0)以来18試合ぶりの歓喜は訪れなかった。

 湘南は34節終了時点でJ2降格圏(18位~20位)の19位に沈んでおり、17位の横浜F・マリノスとの勝点差は8。18位の横浜FCとも勝点5差で、いずれのチームにも得失点差で大きく下回っている(湘南が-29、横浜FMが-9、横浜FCが-16)。今季が残り4試合であることを考えれば、J1残留は非常に難しくなったと言わざるを得ない。

 2021年から湘南に在籍し、今季で5年目を迎えた池田は、72分に立て続けに訪れた自身の二度のチャンスを決め切れなかったことに唇を噛む。

「自分のところで決められなかったところがすべてかなと。チームを救えなかったことが悔しいです。あれを決められる選手と決め切れない選手には大きな差があって、僕はまだ決め切れない選手で、決め切るようになるために、足りないものがあると痛感しました。

 こんな状況でも、チームの空気感やスタジアムの雰囲気は素晴らしいものがあるからこそ、今日は本当に勝ちたかった。というか、勝たなければいけませんでした。勝つか、引き分けるかではまったく違うので、悔しさが大きいです」
 
 掴みかけていた白星が、手のひらからするりとこぼれ落ちた一戦だっただけに、立ち直るのは簡単ではないだろう。池田も「今すぐに前を向くのは難しい」と語るが、残留の可能性がある限り、最後まで信じて戦わなければならない。

 厳しい結果となった一方、京都戦では収穫も得られたように見えた。敵陣でのボール奪取が起点となった鈴木章の得点シーンも含め、ここ数試合で山口智監督が強調している「守備の圧」は存分に出ていたと言えるだろう。

 池田も強度の高いディフェンスを前面に押し出すスタンスは間違っていないと話したうえで、残り4試合での巻き返しを誓う。

「自分は在籍5年目で、ベルマーレがどんなクラブかは理解しているつもり。自分たちがどういう時に強いのか分かっています。サッカーは11人でやるスポーツで、ひとりでやるものではないので、難しさもあるんですけど、だからこそ選手たちがつながっている時、良い雰囲気で戦っている時にエネルギーが出る。湘南は特にそのつながりが大事です。

 全員がひとつになった時、同じ方向に矢印が向いた時が、僕らが一番強い時。残り4試合、厳しい状況ですけど、本当にやるしかない。もう一段階、みんながまとまって、ひとつになれるように、取り組んでいきたいと思います」

 26歳のMFはさらにこう続ける。

「切り替えるのは難しいですけど、ここでバラバラになったらダメ。残り4試合に向けて、次の福岡戦に向けて、根性を見せたいです。結果はもちろん追い求めるなかで、まずはどんな状況でも、お金を払って試合を観に来てくれている人たちに対して、僕らプロがどんな姿勢を見せるのか。改めて当たり前のところに立ち返って、覚悟を持って戦い抜きたい」
 
 苦境に陥っているが、まだ終わったわけではない。どんな状況でも拍手を送ってくれる湘南サポーターに恩を返すためにも、クラブへの強い想いを持つ池田と共に、35節のアビスパ福岡戦で残留への足掛かりを得たい。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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