【リオ五輪】「気楽な気持ちで臨めた」と興梠。額面通りに受け止れない言葉の真意

2016年08月11日 サッカーダイジェストWeb編集部

「背負いすぎ」に周りと足並みを揃える。興梠は、それを「気楽な気持ち」と表現した。

「悔いのない3試合でしたので、それが結果に結びつかなかったのはすごく残念」。スウェーデン戦後、興梠はそう語った。写真:JMPA/小倉直樹

 オーバーエイジとして参戦したリオ五輪で、興梠は3試合すべてにスタメン出場した。全試合に先発したのは、CB植田、塩谷、SB室屋、MF中島、遠藤と興梠の6人だ。それだけ、手倉森監督の信頼を勝ち取っていたということだろう。
 
 しかし、その期待に見合った活躍をしたかと聞かれれば、素直に首を縦には触れない。初戦のナイジェリア戦は1トップ、続く第2戦のナイジェリア戦、そして第3戦のスウェーデン戦では2トップの一角を任されながら、3試合で挙げたゴールはナイジェリア戦のPK1点のみだ。
 
 ポストワークで貢献していたとはいえ、ゴールに迫る迫力では、ナイジェリア戦、コロンビア戦と2試合連続で得点を決めた浅野のほうが、遥かに上回っていた。
 
 とはいえ、興梠の存在感があまり目立たなかったのは、彼自身がフォアザチームに徹した結果だと見ることもできる。オーバーエイジの自分がでしゃばるのではなく、あくまで歯車のひとつとしてチームに溶け込む。そうして、チームメイトの力を最大限に引き出す。それこそが興梠の本心だったことは、以下のコメントからも感じ取れる。
 
「個人的に国際大会の経験があまりないなかで、オーバーエイジとしてテグさん(手倉森監督)からオファーをいただいて決断しましたけど、最初はオーバーエイジということで自分がどこまでやれるのか、もちろん不安でした。でも、背負いすぎるのも良くないと思ったので、気楽な気持ちで臨めたと思います」
 
 肩肘張ってチームを引っ張るのではなく、「背負いすぎ」に周りと足並みを揃える。興梠は、それを「気楽な気持ち」と表現し、こうも語った。
 
「僕は(オーバーエイジの)難しさよりか、楽しさがありました。自分としては楽しくやれたし、悔いのない3試合でしたので、それが結果に結びつかなかったのはすごく残念です。このチームでまた何試合かやりたかったですね」
 
 人によっては、「気楽」や「楽しさ」という言葉に嫌悪感を示すかもしれない。ただ、この「気楽」「楽しさ」を額面通りに受け取るのは間違いだろう。

次ページオーバーエイジがU-23世代の選手たちを”追い出した”ことを、興梠は誰よりも理解している。

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