「自分が失点しなければ負けない」鹿島が今季15回目のクリーンシート。GK早川友基の充実ぶり。代表の基準を持ち続け「引き出しをもっと増やせればいい」

2025年10月18日 元川悦子

右足を痛めるも「その後の方が動きが良くなりました」

抜群のパフォーマンスを続ける早川。鹿島のタイトル奪還に不可欠な守護神だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 2025年シーズンのJ1もラスト5戦というところで、勝点65で首位に立つ鹿島アントラーズ。柏レイソル、京都サンガF.C.、ヴィッセル神戸の2位グループとは5ポイント差で、10月17日の神戸、25日の京都とのアウェー2連戦で首尾よく勝点を積み上げれば、2016年以来9年ぶりのJ1タイトルが見えてくる状況まで来ていた。

 最初の関門が、リーグ連覇中の神戸との一戦。敵地ノエビアスタジアム神戸はピッチを張り替えられていたが、"アウェーの洗礼"を痛感。鈴木優磨は「すごく滑るんですよ、下が。スリッピーなんでボールタッチも難しいし、ワンタッチでのプレーが怖いんですよね」と本音を吐露する。その環境を知り尽くしている神戸に分があったのは確かだ。

 案の定、神戸はエースの大迫勇也に長いボールを蹴り、彼を起点にサイドから矢継ぎ早にクロスを入れてくるという圧力のある攻めを仕掛けてきた。鹿島は開始から30分まで、ほぼ防戦一方の展開を強いられた。

 そこで勇敢に立ちはだかったのが、日本代表帰りの守護神・早川友基だ。開始2分、右CKからの武藤嘉紀のヘディングシュートを確実にキャッチし、その1分後、宮代大聖のクロスに反応した大迫の左足シュートを阻止するなど、序盤から次々と相手の決定機を防いでいく。

 その大迫のシュートを止めた直後、右膝を痛めるアクシデントもあったが、「芝生に膝が刺さって抜けない感じになっちゃいましたけど、逆にその後の方が動きが良くなりました」と本人は笑っていたほど。早川のタフさに味方も大いに助けられたはずだ。
 
 鹿島はしぶとく0-0で試合を折り返し、後半に突入すると、攻撃のギアを徐々に上げ始めた。早川は終盤にはハイパント攻撃を多用した。

「自分もちょっと冷静さを欠いていたんで、そこは反省かなと。もっと全体が押し上げてからハイパントを狙うのはアリだったと思います」と厳しい自己評価を下したが、チームは0-0のスコアレスドローに持ち込み、今季15度目のクリーンシートを達成した。内容的に大きく相手に上回られたことを考えると、勝点1は御の字だったと言っていい。
 

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