「慎三さん、レッズは大丈夫。もう少しブラジルで…」武藤が“興梠不在”を感じさせぬ2得点を決め、浦和9戦負けなし

2016年08月10日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

今週末の名古屋戦、次週の“天王山”川崎戦に向け、景気づけとなる快勝劇。それでも武藤の表情が冴えなかった訳は?

前半と後半の終了間際に1点ずつを決めて、1年2か月ぶりの2ゴール。最近4試合・4得点と武藤に“当たり”が戻ってきた。写真:田中研治

 [J1 2ndステージ7節]
浦和レッズ 4-1 湘南ベルマーレ 
8月6日/埼玉スタジアム2002

 浦和の武藤雄樹が湘南戦で2ゴールを決めて、勝利に貢献した。ここ最近4試合・4得点と"当たり"が戻ってきた。1試合・2得点は、優勝した昨季第1ステージの17節・新潟戦以来、1年2か月ぶり。通算8ゴールに伸ばし、2年連続ふた桁得点も射程圏に捉えた。
 
 1ゴール目は、浦和の1-0のリードで迎えた前半の42分だった。柏木陽介がカウンターで敵陣までドリブルで持ち込み、一緒に駆け出していた武藤がペナルティエリアのニアサイドでマークを外してパスを要求。柏木は一瞬の間を作って、さらに後方からファーサイドに走り込んだ李忠成へのパスを選択する。
 
 パスに李にわたらず相手DFに当たってゴール前にこぼれて混戦となる……。そのボールを足もとに収めたのが浦和の背番号9だった――。
 
 武藤は躊躇わず相手DFを振り切りゴール前へ切れ込む。そしてブロックしようとしたGK村山智彦をかわして、シュートを突き刺した。
 
「長い距離を3人で走り込んでいたからこそ、生まれたゴールだった。(GKをドリブルで抜いてゴールを決めたが?)余裕があった。冷静にかわすことができました」
 
 武藤はそのようにゴールシーンを振り返った。
 
 2点目は試合終了間際の90+2分だ。ホームチームが3-1でリードするなか、最後のラッシュを仕掛けようとして前掛かる湘南陣内に生まれたスペースを見逃さなかった。ボランチの青木拓矢が右サイドの深い位置まで飛び出して、右ウイングバックの梅崎司からのパスを受ける。相手をかわした青木のマイナスのクロスに、ドンピシャのタイミングで合わせたのが武藤だった。
 
「クロスが来る前に、青木と目が合った。しっかりタメを作ってくれていたし、青木がボールを出した瞬間にあのゴール(チーム4点目)は決まっていました」
 
 そう語った武藤は自身のゴール以上に、青木のプレーを賞賛していた。
 
 浦和の4ゴールは、4月29日の第1ステージ9節・名古屋戦以来(スコアは4-1)。今週末の名古屋戦、そして次週の"天王山"川崎戦に向けて、景気づけとなる快勝劇となったのは間違いない。
 
 それでも武藤の表情は冴えなかった。
 

次ページ「あの屈強な相手にも、慎三さんらしい得意のプレーが通用することを証明してくれた」。

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