厚くなった選手層を最大限に活用。ニューカマーが抱える課題はむしろ伸びしろ。今季のアーセナルは、まだ発展途上にあると言えるだろう【現地発】

2025年10月05日 田嶋コウスケ

今夏のマーケットで大型資金を投じる

オリンピアコス戦ではチームの全得点に絡んだウーデゴー。(C)TOSHI TAKEYA(SOCCER DIGEST)

 アーセナルが、チャンピオンズリーグで2連勝を飾った。

 10月1日に行なわれたCLアーセナル対オリンピアコス戦。アーセナルは前半にブラジル代表FWガブリエウ・マルティネッリが先制点を挙げると、後半アディショナルタイムの90+2分にもMFブカヨ・サカが追加点を入れ、2-0で快勝した。途中、オリンピアコスのしぶとさに苦しみ、GKダビド・ラジャのセーブに救われるシーンもあったが、終わってみれば2点差をつけて勝利を収めた。

 ミケル・アルテタ監督は、このオリンピアコス戦では、3日前に敵地ニューカッスル戦で勝利した先発メンバーから6選手を入れ替えた。今夏の移籍期間で2億5000万ポンド(約500億円)の大型資金を投じて8人の新戦力を獲得しており、この日はデクラン・ライスやサカがベンチスタート。厚くなった選手層を最大限に活用した格好だ。

 試合後、アルテタ監督は次のように振り返った。

「勝利とクリーンシートにとても満足している。オリンピアコスはとてもタフなチームだった。試合の入りは非常に良く、先制点を奪い、大きなチャンスもいくつか作れた。そこから少しオープンな展開になってしまい、クリーンシートを守るためにダビドのビッグセーブが必要になった。ニューカッスル戦の後で、こうしたパフォーマンスを見せてくれた選手たちを称えたい。

 選手層が厚くなった影響? チームの全員に大きな役割を果たしてほしいと思っている。交代で入った選手たちもチームを助けてくれた。誰が入っても、新しい次元をもたらしてくれるんだ」
 
 注目すべきは、アーセナルの2人のキープレーヤーだった。1人は、主将のマルティン・ウーデゴー。先制点の場面で、ノルウェー代表MFは得点の起点となるスルーパスを出し、サカのゴールでも鮮やかなスルーパスを通してアシストをマークした。2ゴールに絡む大活躍で、チームを勝利に導いた。

 ここまで肩の怪我で欠場していたキャプテンだが、英BBC放送や英衛星放送スカイスポーツはウーデゴーをMOMに選出。層の厚くなったアーセナルで、ひときわ眩しい輝きを放った。英BBC放送は次のように評価した。

「CLの3日前に行なわれたニューカッスル戦で、途中交代で出場したウーデゴーは逆転勝利に大きな役割を果たした。出場してすぐに試合をコントロールし、決勝点となったDFガブリエウのゴールをCKで演出した。

 CLオリンピアコス戦で先発に戻り、中盤で十分な時間とスペースを確保して、オリンピアコスの最終ラインに危険なパスを送り続けた。先制点はまさにその流れから生まれた。今夏の移籍市場を経て、中盤の起用オプションが増え、これまでウーデゴー不在の影響をさほど感じさせなかった。しかしオリンピアコス戦で、ノルウェー代表MFがアーセナルにとって欠かせない存在であることが改めて証明された」

 英紙ガーディアンも賛辞を送った。

「ウーデゴーが90分間プレーし、84回のタッチ、4本のシュート、1本のアシスト、そして数々の素晴らしいパスを披露した。彼がこのようにプレーする姿は実に楽しい。羽根のように軽快なアーティストであると同時に、容赦なくプレッシャーをかけるマシンのような存在だった」
 

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