4位の柏がトップ3に食い込んでいくために。壮絶ドローの川崎戦で小泉佳穂が勇気ある苦言「同じようなミスだけは気を付けないと」

2025年10月02日 元川悦子

「勝つために必要な部分が甘い」

攻撃のキーマン小泉も反省「気づいて言えていたら良かった」。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

 2025年J1も残り6試合。現時点で鹿島アントラーズが勝点64で首位に立っている。同60で2位のヴィッセル神戸、同59で3位の京都サンガF.C.はまだ鹿島との直接対決が残っているだけに、虎視眈々と首位奪取を狙っているはずだ。

 その上位3チームを追うのが、57ポイントで4位の柏レイソルだ。

 柏は8月31日の28節・アビスパ福岡戦に勝利した時点で、首位の京都と1ポイント差の2位につけていた。だが、9月突入後は神戸、セレッソ大阪、サンフレッチェ広島、川崎フロンターレを相手に4戦連続ドロー。首位との差が7に開いてしまったのだ。

「前の3試合と今回の試合(川崎戦)は全然別物。前の3試合は自分たちで戦術的に新しいチャレンジをしていたこともあって、少しバランスを崩したところがありましたけど、今回は戦術的な部分とかサッカーの内容というよりは、勝つために必要なことができていなかった。ちょっと質が違いますね」と、9月28日の川崎戦後、顔を曇らせたのが小泉佳穂だ。

 ご存じの通り、この試合は派手な打ち合いの末に4-4という結果に終わった。柏はビルドアップのミスから瞬く間にPKを与え、1失点目を喫したが、すぐさま垣田裕暉のゴールで1-1に。さらに右ウイングバックでサプライズ起用されたジエゴの2点目が飛び出し、前半を2-1で終えると思われた。
 
 だが、前半ロスタイムのラストプレーで手痛い2点目を食らってしまう。これは柏の右CKが発端。キッカーのジエゴがペナルティエリアの右外にいた中川敦瑛に預け、彼が小屋松知哉に横パスを出す。これをマルシーニョにさらわれ、最終的に今季絶好調の伊藤達哉に決められてしまったのだ。

 小泉はこの失点シーンを「試合の最大のポイント。絶対にいらないプレーだった」と断言。「あの時間帯にああいうセットプレーをする必要があったのか。本当に勝つ術を知らなすぎる。勝つために必要な部分が甘い。相手の嫌がるゲーム運びやプレーを選択するという老獪さが足りない。ここへ来て自滅に近い状況になっているし、(首位の)鹿島との差をすごく感じるシーズンになってますね」と厳しい表情で語ったのだ。

 このシーンは、2018年ロシア・ワールドカップのベルギー戦を彷彿させるものがあった。2-2で迎えた試合終了間際、敵陣での直接FKで本田圭佑が"勝負球"を蹴り込んだことに対して賛否両論が起きた。ただ、「90分で勝ちたいなら攻めるしかない」というマインドも多少は理解できた。

 しかしながら、今回の柏は2-1でリードしていた。だからこそ、ノーリスクで前半を終わらせるべきだった。小泉はそのことを大いに悔やんでいたのだ。

「僕自身もその時に気づいて言えていたら良かった。キープして終わらせるように仕向けるべきでした。今のレイソルは若い選手が多いので、こういう失敗から学ぶこともある。ここから先は、同じようなミスだけは気を付けないといけない。本当に反省ですね」と彼は自戒を込めて語っていたが、確かに徹底的に細部にこだわらない限り、勝てる集団にはなれないだろう。
 

次ページ次節は4日に横浜FMと対戦

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事