無意識に自分を苦しめてしまうことも
日大の中枢に君臨するボランチ。植木が正直な胸の内を明かしてくれた。写真:安藤隆人
来季の浦和レッズ加入が内定している日本大学のボランチ植木颯。常に冷静で、全体を見渡しながら考えるという、ボランチのポジション的な思考だけではなく、組織においても物事を大局で見ることができる能力を持っている。
「全体のバランスを見て、自分が今、どこにいないといけないのか、何をしないといけないのかを考えながらやっています」
この特出した能力をベースに、精度の高い左足のキックと、足もとの技術を持っているからこそ、チームに安定感をもたらす存在として1年生から出番を掴み、プロから高い評価を受けて浦和内定を手にした。
日大藤沢高の3年時にはキャプテンを務め、大学に入ってからも1年生の時から学年責任者を任された。昨年は3年生ながら一度、キャプテンマークをつけてピッチに立ち、今年は正真正銘のキャプテンとしてチームの中枢に君臨している。
ただ、周りがしっかりと見えてアンテナが高いがゆえに、無意識のうちに自分を苦しめてしまうこともある。まさに今、植木はその壁に直面している。
「7月にプロ入りが発表されて、8月に全日本大学選抜のイタリア遠征に行って、いろいろ素晴らしい経験をさせてもらったなかで、こうして大学に戻って後期リーグが始まって、個人としてもなかなかエンジンがかからないというか。今日も自分のミスから失点してしまって、それを取り返すぐらいの活躍をしないといけないと思ったのですが、それができずに終わってしまって悔しい気持ちです」
「全体のバランスを見て、自分が今、どこにいないといけないのか、何をしないといけないのかを考えながらやっています」
この特出した能力をベースに、精度の高い左足のキックと、足もとの技術を持っているからこそ、チームに安定感をもたらす存在として1年生から出番を掴み、プロから高い評価を受けて浦和内定を手にした。
日大藤沢高の3年時にはキャプテンを務め、大学に入ってからも1年生の時から学年責任者を任された。昨年は3年生ながら一度、キャプテンマークをつけてピッチに立ち、今年は正真正銘のキャプテンとしてチームの中枢に君臨している。
ただ、周りがしっかりと見えてアンテナが高いがゆえに、無意識のうちに自分を苦しめてしまうこともある。まさに今、植木はその壁に直面している。
「7月にプロ入りが発表されて、8月に全日本大学選抜のイタリア遠征に行って、いろいろ素晴らしい経験をさせてもらったなかで、こうして大学に戻って後期リーグが始まって、個人としてもなかなかエンジンがかからないというか。今日も自分のミスから失点してしまって、それを取り返すぐらいの活躍をしないといけないと思ったのですが、それができずに終わってしまって悔しい気持ちです」
9月28日に行なわれた関東大学サッカーリーグ1部・第14節の東京国際大戦。ボランチでスタメン出場した植木は、3バックのサポートとウイングバックのカバーなどに追われ、全体的に低いポジション取りでプレーしていた。
もちろん、それはビルドアップのサポートと、カウンターへのリスクマネジメントという、実に彼らしい機転を働かせたプレー選択だったが、本来の前への推進力を出し切れず、相手の守備ラインを破壊するパスを引き出せなかったりと、攻撃面では相手の脅威となり切れていなかった。
そのなかで19分に、ビルドアップでディフェンスラインに落ちた植木は、GKドゥーリー大河からのパスを受けた瞬間、狙っていた東京国際大のMF佐藤柊耶にかっさらわれて、そのまま先制弾を許した。
前の段階から相手のハイプレスにハマり、チームとしてビルドアップが難航している展開の中で起こったものだ。気持ちを切り替えるべきだったが、責任感の強い植木は取り返そうとするあまり、全体的にプレーが空回りしてしまった。
チームは後半、立て続けに失点し、0-3の敗戦。植木は81分に交代を告げられ、ピッチを後にした。チームも後期開幕から1分け1敗と勝ち星が掴めていない状況となった。
「来週から連戦も始まるので、一回どこかでチームの雰囲気を変えないといけないと思っています」
危機感を滲ませる彼に今の思いを聞いてみると、正直な胸の内を明かしてくれた。
「やっぱり無意識のうちにプレッシャーを感じることが多くなって、『見られているな』と感じることが増えたかもしれません。具体的に何か言われているわけではないですし、僕も気にしないようにしているのですが、知らず知らずのうちに気にしてしまったり、感じてしまっていたりしているのが現状です。でも、それを乗り越えないと先は本当にないと思うので、今のままじゃ本当にダメだと思っています」
全体が見える、感じ取れる気質ゆえに、無意識のうちに周りの『音のない声』が聞こえてしまう。
もちろん、それはビルドアップのサポートと、カウンターへのリスクマネジメントという、実に彼らしい機転を働かせたプレー選択だったが、本来の前への推進力を出し切れず、相手の守備ラインを破壊するパスを引き出せなかったりと、攻撃面では相手の脅威となり切れていなかった。
そのなかで19分に、ビルドアップでディフェンスラインに落ちた植木は、GKドゥーリー大河からのパスを受けた瞬間、狙っていた東京国際大のMF佐藤柊耶にかっさらわれて、そのまま先制弾を許した。
前の段階から相手のハイプレスにハマり、チームとしてビルドアップが難航している展開の中で起こったものだ。気持ちを切り替えるべきだったが、責任感の強い植木は取り返そうとするあまり、全体的にプレーが空回りしてしまった。
チームは後半、立て続けに失点し、0-3の敗戦。植木は81分に交代を告げられ、ピッチを後にした。チームも後期開幕から1分け1敗と勝ち星が掴めていない状況となった。
「来週から連戦も始まるので、一回どこかでチームの雰囲気を変えないといけないと思っています」
危機感を滲ませる彼に今の思いを聞いてみると、正直な胸の内を明かしてくれた。
「やっぱり無意識のうちにプレッシャーを感じることが多くなって、『見られているな』と感じることが増えたかもしれません。具体的に何か言われているわけではないですし、僕も気にしないようにしているのですが、知らず知らずのうちに気にしてしまったり、感じてしまっていたりしているのが現状です。でも、それを乗り越えないと先は本当にないと思うので、今のままじゃ本当にダメだと思っています」
全体が見える、感じ取れる気質ゆえに、無意識のうちに周りの『音のない声』が聞こえてしまう。