エリソンとロマニッチ、どちらが先発すべきか。あるいは共存か――川崎の攻撃に新たな“軸”、セルビア人FWが柏戦で示した価値

2025年09月29日 手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

守備の献身性、周囲を使う上手さが光る

川崎のロマニッチ(写真中央)が柏戦で2ゴール。得点以外のプレーも秀逸だった。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

 川崎フロンターレに、心強い存在が加わった。

 9月28日のJ1第32節・柏レイソル戦。ホームのUvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで行なわれた戦いは、激しい撃ち合いの末に4-4のドロー決着となったが、結果以上に明るい材料があった。

 チームトップの11ゴールを挙げているエリソンが出場停止となるなか、代役としてセンターフォワードに入ったセルビア人FWラザル・ロマニッチが、2ゴールで存在感を示したのだ。

 7分、PKを決めて移籍後初ゴール。さらに79分には、一瞬のスプリントでゴール前に走り込み、左サイドからの折り返しに右足で合わせてチームの4点目をマークした。ストライカーにとって最も重要な「結果」で期待に応えたわけだが、彼の真価は得点にとどまらない。

 まず守備面での貢献が光った。前線からの献身的なプレスは、マルシーニョや伊藤達哉と呼応しながら相手のビルドアップを寸断。そこで生まれたショートカウンターから、何度もチャンスに持ち込むシーンがあった。単に点を取るだけのストライカーではなく、チームの"スイッチ"としても機能していた。

 攻撃時にも、ロマニッチのプレーは実に安定感があった。前線でしっかりとボールが収まり、ためを作れる。視野が広く、周囲の動きも的確に把握しながらパスを散らすことができるため、彼を起点に攻撃にリズムが生まれていた。
 
 ゴール前に飛び込む姿勢やポジショニングも秀逸で、フィニッシャーとしての嗅覚も十分。全体的にプレーの判断が冷静で、見ていて安心感のあるストライカーだ。

 これまで川崎の最前線では、エリソンのフィジカルを活かした"個の強さ"がひとつの武器だった。強引に状況を打開できる点では替えの利かない存在だが、ロマニッチはそれとは異なる魅力を持つ。

 敏捷性とクイックネス、献身性を武器にしつつ、周囲を活かしながらゴールに迫るスタイル。異なるタイプのオプションを持てたことは大きな財産と言える。

 攻撃のバリエーションが広がることは、川崎にとって間違いなくプラス。柏戦は4失点して守備面の課題を露呈したが、攻撃面ではロマニッチの躍動が今後につながる大きな収穫となった。

 エリソンか、ロマニッチか。どちらを先発起用すべきか、あるいは共存もありか。チームにとっては嬉しい悩みだ。

 出場停止からエリソンが戻ってくる次節の京都戦。長谷部茂利監督がどちらのFWをスタメン起用するのか。新たな競争がチームをさらに押し上げる予感がしてならない。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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