【仙台】インザーギを彷彿させる奥埜の決勝点。ストライカーとしての“本能”がついに目を覚ましたか――

2016年08月07日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「ストライカー的な部分は得意としていた」(奥埜)

西のバックパスに素早く反応。迫りくる鹿島の山本や曽ケ端に止められることなく、左足の正確なコントロールショットでネットを揺らしてみせた。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 試合前、分析担当の杉崎に言われたひと言が、奥埜の眠っていた"本能"を呼び覚ましたのかもしれない。

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「こぼれ球とか、インザーギ(元イタリア代表FW)のように決められる気がする、みたいなことを言われたんです。それが頭の片隅にあって、身体が勝手に動いたのかもしれない」
 
 実際のゴールシーンは、こぼれ球に素早く反応して押し込む、といった形ではなかった。ただ、相手のバックパスをかっさらうという意味では、現役時代には万事に抜け目なくゴールを量産したインザーギのような「嗅覚」を利かせた。
 
 自陣エリア内で後ろ向きにキープした鹿島の西が、R・ロペスのプレッシャーにたまらずバックパスをすると、ボールの転がる先には奥埜が素早く走り込み、左足で流し込んだ。
 
「チームも苦しい状況のなかで、点を取れて良かった」
 
 仙台はこの奥埜の1点を守り切り、1-0で勝利を収めた。敵地で鹿島を破るのは、実に14年ぶりのこと。歴史的な快挙ではあるが、奥埜は、チームが長い間、アウェー鹿島戦で勝ててなかったことを「知らなかったのが良かったのかなと思います」と、気負いなくプレーできたことが、今回の活躍につながったと語った。
 
 ちなみに、インザーギに関しては、「好きというか、プレーは見たことありますけど、特別に意識はしていません。杉さんに言われて、思い出したという感じ」という程度の知識しかない。ただ、今回の活躍をきっかけに、"点取り屋"としての欲望がより一層、強くなるかもしれない。
 
「もともと、小学校とか中学の時は、そういうこぼれ球を狙ったりとか、ストライカー的な部分を得意としていたので。今はなかなか見せられていないですけど、そういうプレーを増やしていけたらいい」
 
 第2ステージは開幕3連敗の後、今回の鹿島戦を含めて3勝1分と、チームは上り調子だ。この流れをキープし、さらに加速させるのは、背番号7のゴールだ。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
 
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