中島洋太朗、髙橋仁胡らU-20W杯に来られなかった仲間のために――。リーダー・市原吏音が決意表明「いよいよ始まるなって」【現地発】

2025年09月27日 松尾祐希

戦友への想いを力に変えて世界の頂に挑む

ついに幕を開けるU-20W杯。キャプテン市原が決意を示した。写真:松尾祐希

 活動期間は2年1か月。2023年8月のSBS杯からスタートした船越ジャパンの航海は最終局面を迎えた。

 現地9月27日に幕を開けるU-20ワールドカップ。チリで開催される2年に1度の祭典に向け、U-20日本代表は26日に最終調整を行なった。

 冒頭15分の公開となったトレーニングはあいにくの悪天候。大粒の雨が打ちつけ、気温も真冬並みの寒さで昨日までの暑さを忘れるような気候となった。エジプトとの初戦に向けてモチベーションを高める21名の選手たち。誰もが「やってやるぞ」という心持ちで凛々しい表情が見て取れた。

 ロス五輪を目ざす選手たちを代表して、想いを口にしたキャプテンのDF市原吏音(大宮)も待ちわびた大舞台に想いを馳せる。

「昨日はスタジアムも見に行って、いよいよ始まるなって感じがします」

 個人としても色んな感情がある。24日には所属する大宮で指揮官の電撃交代が発表され、プロ入りからお世話になっていた長澤徹前監督との別れは苦しいものがあった。「こっちに集中すると決めている」と前置きをしたうえで市原は言う。

「いろんなものを学ばせてもらった監督で、本当にリスペクトをしていたので悲しい気持ちと…。ただ、改めてプロの世界だなと感じました」

 最後に挨拶ができなかっただけに、大舞台で活躍することが恩返しになる。「なるべく帰ってくるなって言われていたので(笑)。それは守りたい」と出発時のやりとりを明かし、気を引き締めた。
 
 そして、U-20W杯で結果を残したいと誓う理由がもうひとつある。ここに辿り着けなかった仲間への想いだ。多くの選手が船越ジャパンの活動に参加し、その数は100名に迫る。市原はリーダーとして多くの選手と関わってきただけに、チームメイトに対して特別な感情がある。

 シーズン中で参加したくてもできなかった海外組はもちろん、U-20アジアカップ予選と同大会に主力として出場しながら怪我の影響で間に合わなかった2人がいる。それがメンバーに選出されながらも合流直前のACLで負傷したMF中島洋太朗(広島)と、7月に右足の第5中足骨を骨折したDF髙橋仁胡(C大阪)だ。

「一緒に最終予選と一次予選を戦ったメンバーもいたし、呼びたくても呼べない海外組の選手とも連絡を取った。洋太朗とかニコもそうですけど、本当にたくさんのチームメイト、仲間と一緒に戦ってここまで来ている。仲間への想いもありますし、そういうのは結果でしか見せられないと思うので、結果にこだわってやっていきたい」

 特に左SBの髙橋とは最終ラインでともに身体を張り続けた戦友。だからこそ、チリに来られなかった悔しさが痛いほど分かる。

「ニコは怪我のリリースが出た時に話しました。この前のJリーグで復帰していたので、怪我も治ったんだろうなって思ったけど、本当にずっと支えてくれた存在。一緒に最終ラインを組んでいたので、ニコの分も頑張りたい」

 お世話になった監督や苦楽をともにした仲間のために――。期待に応えるためにも、結果を残すしかない。仲間想いの熱きリーダーが、覚悟を持ってオープニングマッチのピッチに立つ。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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