「震えた。リーグ戦とは違うから」28歳日本代表DFはイタリア名門とのCLデビュー戦で何を感じたのか。2点を許した元同僚FWとの駆け引きを堪能「器用だし、強い。楽しかった」【現地発】

2025年09月18日 中田徹

アヤックスは0-2で敗戦

インテル戦で84分までプレーした板倉。(C)Getty Images

 アヤックスは9月17日、イタリアの名門インテル・ミラノ相手に戦った今季のチャンピオンズリーグ(CL)初戦を0-2で落とした。失点は共にCKからFWマルクス・テュラムにヘッドで合わされたもの。オープンプレーからのピンチはそれほど多くなかっただけに、アヤックスにとっては細部の詰めが悔やまれる一戦になった。

 インテル戦がCLデビューマッチになったDF板倉滉は「流れの中で失点してないだけに、セットプレー2本でやられたのは悔しいですね。相手のストロングポイントということは重々わかっている中でやられてしまった」と語った。

 CKの守備でテュラムのマークを担当したのはMFダフィ・クラーセンだった。しかし、42分にはテュラムにニアへ走られて先制弾を許し、47分にはゴール中央で競り負けて0-2とされた。2失点目はゾーンで守っていた板倉もテュラムの動きに反応したが、クラーセンとともに空中戦で後手に回った。

「2回、同じ選手にやられていて、そこのマークがミスマッチだったというのはちょっと感じた。(アヤックスには)そこまで大きな選手がいるわけではない。今後は自分とヴォウト(・ヴェフホルスト/FW)が(セットプレーの守備で)大事になってくると今日、より一層感じました」

 アヤックスのフィロソフィーは攻撃サッカー。しかし今季のチームはやや小粒で、インテル相手にポゼッションでは上回ったが、現時点ではそこからチャンスを作り切る力に乏しい。

「ポゼッション率はこっちの方が高いし、パスの本数も多いけど...というのはすごく感じていました」

 それでも開始から30分間、アヤックスが優勢に試合を進めたのは「守備でアタックするサッカー」を示せたから。ボールをロストしても、自陣に攻め込まれても、強度が高く、しかも一度食いついたら離さない積極的な守備でインテルを攻め続けた。

「それができないと、絶対にチャンピオンズリーグで勝てない。もちろんボールを持つことができるのはアヤックスらしさ。その分カウンターのピンチをちゃんと頭に入れておかないといけない。リーグだから、チャンピオンズリーグだからと関係なく、みんなが自信を持ってやれている――。そう思った」
 
 だからこそCKからの綻びがもったいなかった。後半開始早々、2点差を付けられると、インテルに余裕を持たせてしまった。

 昨季のオランダリーグ王者であるPSVは隣国ベルギーのウニオン・サン=ジロワーズのパワーに押し切られ、1-3で完敗した。アヤックスもインテルのCKのパワーに屈した。ブンデスリーガで豊富な経験を積んだ板倉は、欧州クラブとアヤックス、ないしはオランダ勢のフィジカルの差をどう感じたのか?

「確かにそれ(フィジカルの差)はブンデスリーガと比べると多少、あるかもしれない。けれどもそれ以上に(アヤックスの選手に)クオリティがあるのは間違いない。選手にはそれぞれの特徴がある。今日はパワー負けしたとは(思ってない)。確かにセットプレーでやられたのは課題だし、あそこはやっぱりパワー(の差)が出ちゃうというのはありますけれど、試合の中で全員がすごくパワー負けしたかというと、そこまでは感じることはなかった。戦える選手は戦える。

(ヨン・ハイティンハ)監督もやっぱりアヤックスということでボールを持っているところにフォーカスしがちで、そこに重点を置きつつ、守備のところもすごく言う監督だから、それができれば問題ない。チャンスは1回、2回作れる(能力がある)と、後ろから見ていて思う。(1失点目はチャンスを逸した)その後だったからこそ集中してやっていたんですけどね。そこはパワー負けしたと思います」
 

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