【総体】ジレンマに陥った流経大柏の苦闘。司令塔・本田憲弥の歯がゆさ残った千葉ダービー

2016年08月03日 平野貴也

主軸ふたりが出場停止。後半の給水タイム後に走力勝負に出るが…。

ボランチの関が出場停止のなか、本田は攻守のバランス取りに苦心した。この悔しさは選手権予選で晴らしたい。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[インターハイ決勝]流経大柏 0-市立船橋 8月2日/Eスタ
 
 前に行きたい、前で勝負がしたい……。流経大柏(千葉1)のMF本田憲弥は、ボランチとして先発し、歯がゆい思いでセカンドボールを狙っていた。
 
 インターハイの決勝戦は、市立船橋(千葉2)との同県勢ライバル対決。流経大柏は、パスワークの部分で劣っても、走る、競り合うといったバトルになれば無類の強さを発揮できるチームだが、市立船橋も競り合いには強い。プレスとロングボールで得意の展開に持ち込もうとしたが、思うようには前線が勝てず、最終ラインの跳ね返しも効かなかった。
 
 それでも互角の展開には持ち込んでいたが、前半終了間際に先制点を奪われた。流経大柏は準決勝で警告を受けた主将のMF関大和、FW古谷三国が出場停止。交代策は限られている。本田裕一郎監督不在のなかで指揮を執った榎本雅大コーチは、後半のクーリングタイムを待って、残り18分でふたりの選手を同時に投入し、走力の勝負で仕留めに行くプランを練っていた。
 
 ロングボールが行き交うなか、中盤と前線の間に入って空中戦だけでなく地上戦の展開も付け加えたいと考えた本田は、試合後に「もうひとつ前でプレーしたかった。もっと攻撃に絡んでいきたかった。もっとうまくできたんじゃないかと思う」と溜めこんでいた思いを吐露した。
 
 戦力事情、相手との力関係、試合の流れ。様々な要因が、本田にブレーキをかけ続けた。ジレンマと戦っていたのは、榎本コーチも同じだ。「後半はもう少しサイドを起点に使って(地上戦も)やりたかった。でも、相手が嫌なことをやり続けた方がいいかなと思ったし、ロングパスをヘッドでそらしてそのまま速く攻めるという方法もやって来たものではあったから続けた。でも、やっぱり、あれだけじゃダメ。相手の(最終ラインの)原君、杉岡君が上手かった」と攻撃プランの変更を迷っていたことを明かした。
 
 しかし、考えた末に決めたラストスパート勝負にかけた。相手の足が止まったところで前線を活性化し、相手ゴール前に混乱を生み、そこへボールを蹴り込む。
 
 後半終了間際には空中戦から相手GKのミスを誘って途中出場のMF宮坂昂輝が決定的なシュートを放つ場面があったが、味方に当たる不運もあり、市立船橋のDF原にクリアされてチャンスは潰えた。
 

次ページ「最後は勝ちたい」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事