小杉啓太はなぜ“高卒即スウェーデン行き”を決断した? 森保監督も視察した19歳はロス五輪世代のチームで実力を示し、A代表入りなるか【現地発】

2025年09月06日 松尾祐希

異国の地で成長を遂げた理由

U-22日本代表としてU-23アジア杯予選に臨んでいるDF小杉。写真:松尾祐希

 高卒で海を渡って1年半。DF小杉啓太はスウェーデン1部のユールゴーデンで絶対的な主力となり、瞬く間に評価を高め、5大リーグのクラブから熱視線を注がれるまでになった。

 湘南U-18に所属していた時から将来を嘱望され、2023年秋にはU-17ワールドカップにキャプテンとして出場。チームのベスト16入りに貢献し、攻撃的左SBとして世代トップクラスの輝きを放った。

 期待値が高い一方で、いきなり海外で戦うのはハードルが高いように思えた。だが、小杉は高卒で渡欧する決断を下す。その背景に何があったのか。当時を回想し、本人は理路整然に当時の状況について口を開いた。

「(オファーがあったわけではなく)トライアルをオーガナイズしていただき、参加することになったんです。もちろん、Jリーグの舞台で活躍して海外に行くというステップもすごく大切だと(当時は)思っていました。でも、大事なのは試合に出られる環境。当時、自分で環境を選べるタイミングにあった。

 ユールゴーデンにいくことを決めたのは"時期"が一番大きいと思う。大学に行くか、プロに行くか、海外に行くか。選択できるなかで、自分としては最も難しい選択肢を取りたいと思ったんです」

 チームの状況や同世代のライバルたちに刺激を受けた点も大きく、クラブが明確な育成ビジョンを示してくれたことも決め手だったという。

「現在はダービーカウンティーにいるヤコブ(ヴィデル・ゼッテルストロム)、トッテナムにいるルーカス・ベリヴァルがチームにいて、左SBのサミュエル・ダールも今はベンフィカにいます。彼らは本当にレベルが高い。そういう選手が揃うなかで、左SBはサミュエル・ダール選手しかいない。その中でクラブは自分を試合に出しながら育てる前提でビジョンを提示してくれた。クラブと話を重ねていくなかで明確なビジョンが見えたのは大きかった」

 ステップアップの移籍ができず、日本に戻るケースも珍しくない。海外挑戦失敗という烙印を押されてしまう場合もある。だが、サッカー選手としてどんな道であっても収穫があると信じ、小杉は茨の道を歩むと決めた。
 
 縁もゆかりもない北欧での生活とプレー。加入当初は言葉の壁に苦しみ、プレー面でもプレースピードに慣れず、思うように出場機会を得られなかった。それでも、いろんなことを吸収し、夏場以降にレギュラーに定着(スウェーデンは春開幕のリーグスケジュール)。プロ1年目は14試合で出番を掴み、ECL(ヨーロッパカンファレンスリーグ)の準々決勝ではチームを初の4強入りに導くゴールも決めた。

 プロ2年目のシーズンとなった今季は、主力としてリーグ戦22試合に出場。森保一監督の視察も受けるなど、A代表入りも現実的な目標として視野に捉えている。

 しかし、小杉は気を緩めていない。

「(森保監督に)視察にも来ていただいた。でも、その中で選ばれていないのは自分の実力が足りていないだけ。見てもらえているけど、実力が追い付いていない。他人の評価やいろんな移籍の噂が立っているなかで、評価が先行して実力が伴っていない部分もあると思うので、実力に評価が追いついていけば、自ずとA代表入りも近付いてくると思う」

 今回はU-23アジアカップ予選に挑むU-22日本代表に選出された。10月、11月の活動でA代表入りを果たすのはもちろん、もう1つの目標でもある"ロス五輪行き"やU-20ワールドカップ出場を叶えるためにも、アジアの戦いでアピールすることは必要不可欠だ。

 初戦となった3日のアフガニスタン戦(3−0)はベンチから戦況を見守っただけに、6日のミャンマー戦は他を圧倒するようなパフォーマンスが求められる。

 右肩上がりで成長を続けてきた有望株はミャンマーの地でどんなプレーを見せるのか。自らの力を示すべく、士気高くピッチに立つ。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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