【総体】かすれた声、気丈な振る舞い… 青森山田を牽引する住永翔が示したキャプテンシー

2016年08月02日 安藤隆人

「もっと一人ひとりの顔つきを見て、掛ける言葉も変えないといけない」

3位の賞状を受け取る住永。試合後は涙を堪え、気丈に試合を振り返った。そのかすれた声はピッチでの激闘を物語っていた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[インターハイ準決勝]青森山田 1-流経大柏 8月1日/広域公園補助競技場
 
 青森山田キャプテンマークを巻く青森山田MF住永翔のインターハイは、準決勝で幕を閉じた。
 
「今回の相手はロングボールを送り込んで来るチームが多くて、自分の頭上を越えるシーンが多かった。それにうまく対応できなかった。今日も1点取ってから、相手の攻撃に対し、失点前と同じようにやってしまった……。もっと頭を使って考えないといけなかった」
 
 流経大柏との準決勝に1-2で敗れた後、彼はこう話しながら、必死で涙を堪えていた。4-1-4-1を採用するチームのアンカーに君臨し、昨年から攻守の要として機能し続けて来た彼は、チームを牽引するキャプテンとして、チームを導けなかったことに、自らの力不足を痛感していたのだった。
 
 準決勝・流経大柏戦の展開はこうだった。相手のロングボールを軸にしたサッカーに対し、立ち上がりから押し込まれると、9分にMF冨永和輝に目の覚めるようなミドルシュートを打ち込まれ、先制点を許した。
 
 青森山田は住永、高橋壱晟と郷家友太の2シャドーを軸にボールをサイドに散らしながら打開しようとするが、思うように攻撃が組み立てられなかった。それでも住永は周りを大きな声で鼓舞しながら、相手の攻撃を食い止め、攻撃に繋ごうとするが、その圧力を完全に跳ね返すまでにはいかなかった。
 
 66分に郷家が同点ゴールを挙げるも、後半アディショナルタイム3分には、インターセプトからMF本田憲弥がシュート。これはゴール右ポストを叩くが、跳ね返りをFW河西守生に豪快に決められ、万事休す。一昨年度のインターハイ、昨年度の選手権に続き、3年連続で全国ベスト4敗退となった。
 
「周りに対して気配りはして来たつもりだったけど、もっとチームが苦しい時に鼓舞をして、もっと背中で引っ張って行かないといけないのにやりきれていないと思った。それにもっと一人ひとりの顔つきを見て、かける言葉も変えないといけない。僕はずっとそれを意識して来たけど、まだまだ甘かった」
 

次ページ「『自分たちが弱かった』ということを肝に銘じて、また一から」

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