【総体】市船を追い詰めたグッドルーザー・瀬戸内。さらなる進化へ──。

2016年08月01日 川原 崇(高校サッカーダイジェスト)

学校を挙げての強化策が奏功。

高度な組織美を披露した瀬戸内。今大会を沸かせた“華”のひとつ。写真:高校サッカーダイジェスト

 快進撃は、善戦むなしくベスト8で止まった。
 
 1回戦で市立長野を5-1、2回戦で近大和歌山を0-0からのPK戦で下し、3回戦では強豪・滝川二を相手に4-0の圧勝を飾り、一大センセーションを巻き起こした瀬戸内。市立船橋との準々決勝は開始4分に1年生FW郡司篤也に先制される苦しいスタートながら、臆することなく真っ向勝負を挑み、互角以上の内容を披露。FW三澤徹晃、FW安部裕葵、MF中間俊亘、DF滝澤康平ら近年の躍進を支えてきた3年生たちが奮闘し、攻守両面で連動性の高いサッカーを展開した。
 
 一進一退の攻防が続くなか、追加点を奪ったのは市立船橋だった。MF金子大毅のパスに呼応したMF西羽拓が冷静に蹴り込んだ。懸命に反撃を試みる瀬戸内はロスタイムに三澤がPKをゲットして安部がこれを決め、怒涛のラッシュを仕掛けたが……。あと一歩及ばず、1-2の惜敗に終わった。シュート数は瀬戸内から見て、11本対12本だ。
 
 安藤正晴監督は、胸を張る。
 
「本当によく頑張りました。しっかりサイドを使って攻撃し、終始チャレンジできた。相手のコンディションがあまり良くなかったのもあって、チャンスはあったんですけどね。決めるべきところで決めきれませんでした。どんな状況でも勇気を持ってつないでいこうと話していて、それを実践できたのがなにより大きい。おとといのタキニさん(滝川二)に対しても、今日のイチフナさんに対しても、自分たちのスタイルで戦えましたから。逃げずに堂々と。ウチにとっての収穫ですし、光が見えた試合。冬につながってくると思います」
 
 今回の広島インターハイに向けて、学校を挙げての強化策が奏功した。それまでは積極的に県外の選手をスカウトしていなかったが、交流のあったジュニアユースの強豪、S.T.F.C(東京)とGRANDE(埼玉)から多くの逸材を引き入れたのだ。今大会の登録メンバー17名のうち、三澤や安部、浅野ら7人が越境入学組。いわば今夏は強化の集大成で、必然の快進撃と言えなくもない。

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