【FC東京】「変わったところを見せろ」の檄に発奮した東慶悟。城福体制下で感じられなかった好感触

2016年07月31日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

試合前、篠田監督があるひとつのテーマを選手に伝える。

トップ下で先発した東(38番)は、前半から効果的にパスを引き出し攻撃を牽引。後半序盤に決勝点を奪い、ヒーローとなった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第2ステージ6節]新潟0-1FC東京/7月30日/デンカS
 
 3連敗を喫した前節の川崎戦後に城福浩監督を電撃解任し、コーチの篠田善之氏を監督に昇格させる形で再スタートを切ったFC東京。果たして、この緊急措置は奏功するのか――。そんな眼差しが注がれるなかで迎えた新潟との一戦で、新チームは「とにかく勝点3を」(篠田監督)という最大のミッションをクリアした。
 
 新指揮官が強調したように、3節の福岡戦から勝利に見放されていたチームにとって、新潟戦でなにより先決すべきは「勝点3」の獲得だった。もちろん、今後の試合でいかに勝ち星を積み重ねられるかも重要だが、嫌な流れを断ち切る意味では、大きな1勝になったのは言うまでもないだろう。
 
 もっとも、単に勝てばいいわけではない。内容より結果を重視した新潟との一戦で、篠田監督はあるひとつのテーマを掲げていたことを明かしている。
 
「選手たちにはプレッシャーを与えていなかったが、自分たちが変わったところを見せないといけないということを伝えて試合に入った」
 
 第2ステージでのFC東京の戦いぶりは、決して褒められるものではなかった。1節の鳥栖戦は、試合終盤まで2-1とリードしながら、後半アディショナルタイムの2失点で逆転負け。続く甲府戦は勝利したが、3節の福岡戦では、またも終了間際の失点で敗戦を喫する「悪夢」を繰り返す。
 
 ゴール前では勝負強さを欠き、守備でも最後まで踏ん張りが効かない――。そんな情けない戦いをさらした過去は消せないが、少しでもサポーターからの信頼を取り戻すべく、篠田監督は戦う心構えやピッチ上での姿勢に対する"変化"にもこだわったのだろう。
 
 指揮官の檄が通じたのか、この試合での選手たちは、試合序盤からアグレッシブにゴールを目指し、球際での果敢にチャレンジも繰り返すなど、「闘う集団」となった。なかでも、攻撃陣でひと際存在感を放ったのが、トップ下でフル出場した東 慶悟だ。
 
「シノさん(篠田監督)からは、中でしっかりしゃべってやってくれって言われていた」という東は、前半から相手の最終ラインとアンカーの間で味方からボールを引き出し、右足から繰り出すパスや敵を惑わす動きでチャンスに絡んだ。守備に関しても、「ある程度前からプレスをハメていけたり、時間帯によってはブロックを作ったりと、メリハリは付けられたと思う」と、自ら手応えを口にしている。

次ページ「城福さんの時は、守ってカウンターっていうことが多かった」(東)。

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