【リオ五輪】頭は冷静に、心は熱く――。南野が“世界”相手にゴールを誓う

2016年07月30日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「五輪優勝候補相手にどれだけできるか。自分たちの現在地を測る良い機会」

前日練習のミニゲームでは、4-2-3-1の左サイドハーフに入ってプレー。2列目の中島、矢島とともに「幅を使った仕掛け」が求められる。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト特派)

 ブラジル戦前日の公式トレーニングを終え、ミックスゾーン(取材エリア)に現われた南野拓実は、表情はクールに、それでも心の中では熱い闘志が漲るかのように、言葉を発する姿が印象的だった。
 
 南野もブラジル相手に苦杯を舐めた2011年のU-17ワールドカップの一員。そして、さらなる高みを目指して19歳で日本を飛び出し、海外で世界各国の選手たちと凌ぎを削る若武者にとって、ブラジルという最高峰の相手を前にして燃えないはずがない。
 
「とにかく楽しみです。ネイマールという世界的なスター選手と対戦できるのは自分にとって凄く貴重な経験になるし、チームとしても現在地を測る良い機会だと思います」
 
 南野はブラジル戦で4-2-3-1の左サイドでの先発出場が濃厚。セルジッペとの練習試合ではFWの興梠慎三に当てて展開する直線的な攻撃が多かったが、手倉森監督は相手の守備を崩すためには「幅を使った仕掛け」が重要だと話しており、同じく2列目に並ぶトップ下の中島翔哉、右サイドの矢島慎也、最前線の興梠慎三とともに攻撃を牽引する働きが求められる。
 
「(五輪)優勝候補相手に自分たちがどれだけできるか。そのなかで課題と成果を発見できればいいかなと。もちろんゴールでチームに貢献したいし、そういう部分で自分をアピールしていきたいと思います」
 
 ブラジル戦はあくまで親善試合で、勝敗にそこまで意味はない。南野の幼馴染である室屋成を筆頭に、選手たちは「ミスを恐れずにどんどんチャレンジしていきたい」と口を揃える。ただ、そうは言っても、グループリーグ初戦まで一週間を切った段階に突入しているだけに、良い内容・良い結果で本大会に弾みをつけるのが理想だろう。
 
「良い形で本番(本大会)に向かって行きたいので、明日が非常に重要になってくる。良い準備をしてしっかりやりたいです」
 
 若きアタッカーがブラジルのゴールネットを揺らす瞬間が訪れれば、手倉森ジャパンは一気に勢いを増すはずだ。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト特派)
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