「メンタルの保ち方を獲得できている」。2026年北中米W杯出場を狙う望月ヘンリー海輝の前向きな変化とは?【町田】

2025年08月07日 元川悦子

59分に藤尾の決勝弾をアシスト

目に見える成長を遂げている望月。さらなる飛躍が楽しみだ。写真:福冨倖希

 7月20日のJ1・東京ヴェルディ戦から約2週間のインターバルを経て、8月6日の天皇杯ラウンド16・京都サンガ戦に挑んだFC町田ゼルビア。この日は、リーグ戦で先発出場の機会が少ない藤尾翔太、仙頭啓矢、ナ・サンホらが前線に並ぶ形で戦い、その藤尾が見事に決勝弾を叩き出し、1-0で勝利。クラブ史上初のベスト8入りを決めた。

 その立役者の1人と言えるのが、右ウイングバックに陣取った望月ヘンリー海輝だ。7月のE-1選手権で異彩を放ち、中国戦では代表初ゴールを奪った192センチの大型プレーヤーは、京都戦でも攻守両面で光るパフォーマンスを見せていた。

 攻撃面では、3バック左の昌子源から再三サイドチェンジを引き出し、右サイドを攻略。縦への推進力を押し出すだけではなく、仙頭と立ち位置を入れ替えながらインサイドでもプレー。自身の仕事の幅を広げるトライもしているという。

「啓矢君は足もとでもらうのがすごくうまい選手。僕が合わせるというより、啓矢君が僕に合わせてくれる感じだったので、"啓矢君さまさま"という感じですね」と本人は笑う。

 そういった流動的な動きの中から、59分に藤尾の決勝弾をアシストしている。このシーンも起点は昌子の縦パス。これを望月が中間ポジションで受け、DFに当てながらも藤尾にラストボールを供給する形となった。

「トラップはうまくいきましたね。(昌子の縦パスが)普通にワンバウンドで来るよりも、速いボールを足に当ててくれたら止めるだけ。逆にすごく止めやすかったです」と背番号3は満面の笑みをのぞかせた。
 
 後半の終了間際には、相手の右CKから福岡慎平に鋭いヘディングシュートをお見舞いされたが、望月が見事にクリア。これが入っていたら延長戦突入となっていただけに、本当にチームを救うワンプレーだった。

「『ああ、ボールが来たわ』と思ってポンと出しただけ。自分の仕事を全うしただけです」と望月は嬉しそうに話したが、そんな立ち振る舞いからも余裕が感じられる。日本代表に初招集された1年前は精神的な波が大きかったが、それがなくなってきたことが、最近の好調につながっている。それは望月自身も認めるところだ。

「源君からはプレーの細かいところも言われますけど、『自信を持ってやれ』とかメンタルの部分をアドバイスされることが多かった。他の人からも話がありましたけど、そういう経験を経て、今はメンタルの保ち方を獲得できている。

 僕はあまり自分に期待せずにやってますし、『成功したらラッキー』『失敗したらしょうがない』くらいの気持ちでやってます。それを継続して、さらにレベルアップしていかないといけないと思っています」と、開き直ったマインドで前へ前へと前進できているのだ。
 

次ページ「完全に届かないわけではない目標になった」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事