【現地記者の英国通信】パフォームとの巨額契約でJリーグは革新的な未来を描けるはずだ

2016年07月26日 スティーブ・マッケンジー

10年の間にマーケティングの改善が出来れば…。

Jリーグが今よりも多くの注目度を得るためには、世界発信の必要があるとスティーブ氏は語った。 (C) SOCCER DIGEST

 ここロンドンにも、日本からのスポーツビジネス界とフットボールにとって非常に重要なそのニュースは届いた。
 
 そのニュースとは2017年からJリーグがイギリスに拠点を置くPerform Groupと10年2100億円という大型契約を結ぶというものだ。新たな動画コンテンツ『DAZN』を稼働させ、従来のTV放送とは一線を画すというこの発表はスポーツビジネス界にとって歴史的瞬間でもあった。
 
 Jリーグはマーケティング戦略を改善し、スタジアムの改良を図ると言っていたが、私は人を引き付けるためには、より多くの投資が必要だと思っている。
 
 特にJリーグが世界各国のリーグとフットボールファンに向けて情報を発信していき、魅力あるものにしていくならば、他のリーグと同じくらいに世界最高のプレーヤーたちを持ち、そういったプレーヤーがいることをアピールしていく必要があるだろう。
 
 それには今よりも投資する必要がある。そういった意味では2100億という大金を手に出来たのは大きいと言える。
 
 また、今回の新たな視聴サービスは、あくまで日本の視聴者に向けてのものでしかない。他国のリーグや他のスポーツと争うためには各国の人々がJリーグを見ることが出来るシステムではないのだ。
 
 もちろん、Jリーグはプレミアリーグ、リーガ・エスパニョーラ、ブンデスリーガ、セリエAなどに比べれば高い評価は得られていない。でも、世界発信となればそれは革新的なことだとして評価も今よりは高まるはずだ。
 
 現在、イギリスのフットボールファンはJリーグに大した興味は持っていない。しかし、リーグがより優れたものになるならば、彼らの見る目が変わる可能性も十分にある。
 
 我々、イギリスのフットボールファンは、最高のフットボールがあれば、そこに興味をむける。それがどこの国のリーグであろうと重要ではないのだ。
 
 この10年の取引の間にマーケティングやリーグ自体の改善が出来れば、Jリーグに対するイギリスや世界の支持は高まっていき、それにより、世界から優秀なタレント引き付けることが可能になり、リーグも急成長を遂げるはずだ。
 
 あらゆる場所で試合を見られるというのは、テレビにそれほど興味を持っていない若い世代を引き付けるための新たな手段だと私は思っている。
 
 この手法こそ、フットボールを観戦する人々の将来図だろう。もちろん、たった一夜で全てが変わるとは思わない。しかし、そういった流れはかならず来るはずだ。そしてそれはJリーグにとって良いことづくめの未来でもあるはずだ。
 
文:スティーブ・マッケンジー
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