「どんな相手でも“サッカーを作る”」「守って勝ってどうする」“風間節”満載で旋風を起こす南葛SCはやはり面白い

2025年07月18日 本田健介(サッカーダイジェスト)

風間監督も自信を覗かせる

経験豊富な大前らタレントもおり、勝点を重ねている南葛SC。進化を見せている。(C)SOCCER DIGEST

 関東リーグ1部でこれだけの盛り上がりを見せるのも珍しい光景だろう。

 風間八宏監督が就任して2年目の南葛SCは、関東リーグ1部で、10試合を戦い、8勝2敗の勝点24(24得点・12失点)で首位の東京ユナイテッドFCと勝点1差の2位。風間体制1年目の昨季は6勝4分8敗の6位だっただけに、成績面でも着実に進化していることが分かる。

 優勝を果たしたKSL市原ATHLETAカップを含め昨年10月から無敗を貫いていたチームは、4月に天皇杯の東京都予選・準決勝で明治大(●1-3)に、5月のリーグ5節に首位争いを演じるVONDS市原に(●1-2)で競り負け、首位を走っていた先日も東邦チタニウム戦(●1-2)で悔しい敗戦を喫したが、しっかり勝点を重ねているのだ。

 サッカーの内容も向上中だ。風間監督が求め続ける技術力を活かした戦い方は進化し、スピードもアップ。粗削りな面を残すが、目を見張るような崩しも増えている。

 5月4日、ホームの奥戸での今季初試合となったリーグ4節の桐蔭横浜大学FC戦は、チケット完売となる2298人を集客。その後も多くの反響を呼んでいるように、J1から数えて"5部リーグ"にあたる環境でこれだけの人を集められるクラブも珍しいと言えるだろう。

 風間監督も今季に向けて自信を覗かせていた。昨季からメンバーを複数人入れ替えたなか、チームは前へ進んでいるのだ。

「まずふたつあり、去年からずっと継続している選手と継続してきたことが各選手の技術になってきた。選手たちが"自分たちの姿"で勝つことをしっかり望めるようになった。

 また去年1年やって、このチームで挑戦してみたいという選手が加わってくれた。そういう意味では、まだまだの面もあるけど、チームの中もだいぶ変わったなと感じているね。

 プロとアマの違いは資格を持っているかどうかではないという話を以前からしているけど、何より大事なのは、自ら上手くなることを望んで、グラウンドで戦えるかどうか。そういう意味では、去年もみんな頑張ってくれていたけど、今年はよりそういう選手が増えてくれた。だからすごく良い雰囲気。自然に純粋な競争が行なわれているなと」
 指揮官はチームの変化についてこうも続けた。

「去年の市原カップあたりから"自分たちの姿"でどう勝つかがすごく明確になってきた。そこは自覚だと思う。自分たちの技術を活かし、"サッカーのゲームを作るのは自分たちだ"と考える。その考えをどこまで突き詰められるか。サッカーを壊しにいくのではなく、グラウンドでサッカーをしっかり作る。どんな相手がきても自分たちは"サッカーを作る"。そのために技術をつけている最中でもある。まだまだだけど、選手はその意識でよくやってくれている。そのチャレンジを通じてお客さんも増えてくれているのもすごく良いことだなと」

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