「失意の敗退」と「76億円の収穫」 “無冠”マンチェスター・シティにとってクラブW杯とは何だったのか【現地発】

2025年07月14日 田嶋コウスケ

守備面では大きな課題が浮き彫りに

アル・ヒラルに3-4で敗戦。シティのクラブW杯はベスト16で終わった。(C)Getty Images

 世界王者を目ざして臨んだクラブ・ワールドカップで、マンチェスター・シティはベスト16敗退という結果に終わった。一方で、76億円超の賞金や新戦力の収穫もあったとされる。この大会は、果たして"価値ある経験"だったのか──。

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 マンチェスター・Cにとって、クラブW杯は価値があったのか──。

 クラブW杯をベスト16で終えたシティについて、英BBC放送がこんな記事を掲載した。

 7月1日に行なわれた決勝トーナメント1回戦。アル・ヒラル戦で、シティは3-4で敗戦。昨シーズンを無冠で終えていた彼らはクラブW杯でも栄冠には手が届かず、タイトルをひとつも取れずに失意のまま1年を締めくくる形となった。

 今回のクラブW杯ではローテーションを採用しながら戦ったが、アル・ヒラル戦ではグループステージ第3節のユベントス戦から3選手だけを変更し、大半の主力選手を先発で起用して勝利を狙った。しかし、アジアの強豪アル・ヒラルの地力は高く、延長戦までもつれて最後は力尽きた。

 事前に退団が決まっていたMFケビン・デ・ブライネ(34=ナポリ)とDFカイル・ウォーカー(35=バーンリー)が大会不参加となり、1億ポンド(約200億円)で獲得されたものの現在は構想外となっているMFジャック・グリーリッシュ(29)も帯同しなかった。

 クラブはベテランを手放し、新たなサイクルに突入していたが、チームの成熟度がまだ十分でないなかでは、世界一の座を争う大会を勝ち抜くのは難しかったということだろう。
 
 BBCは、大会を通しての選手評価とチームの状態に注目した。

 まず高く評価されたのが、新戦力のオランダ代表MFタイアニ・ラインデルスだ。「中盤に必要とされていたエネルギーと活力をもたらす存在であることは明白」とし、早くもチームにフィットしている様子がうかがえた。

 同じく新加入のフランス代表MFライアン・シェルキも好印象を残した。グループステージでゴールを決めたほか、アル・ヒラル戦ではMFフィル・フォーデンの得点を見事なアシストで演出した。

 一方、守備面では大きな課題が浮き彫りになった。左サイドバックに入ったアルジェリア代表ライアン・アイト=ヌーリは、攻撃力には定評があるものの、守備では隙を見せる場面が多く、アル・ヒラルに再三狙われた。

 さらに、本職がMFのポルトガル代表マテウス・ヌネスを右サイドバックとして起用した采配については、「グループステージでは何とか持ちこたえたが、格上相手には通用しなかった」と厳しい評価を下している。ウォーカーの退団後、右サイドの補強が喫緊の課題となっている。

 また、長期離脱から復帰したばかりのMFロドリが、再び負傷した可能性があることも報じられた。ジョゼップ・グアルディオラ監督は「試合中に違和感を訴えた」とし、延長戦で途中交代させた理由について説明している。大黒柱がまたしても長期離脱となれば、来月から始まる新シーズンでも大きな痛手になりそうだ。
 

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