33歳にして4年ぶりに代表のピッチへ。川﨑の辞退で手薄になったボランチで、稲垣祥に託されたタスクとは?【E-1】

2025年07月07日 元川悦子

3試合を3人で回すのが現実的

名古屋からはGKピサノと共に森保J入りを果たした稲垣。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 E-1選手権に臨む日本代表は、7月8日に初戦で香港と対戦する。2013年と22年に優勝している日本にとり、今大会は3度目の優勝と連覇がかかる。

 6日に行なわれた4か国合同会見で、海外メディアから「今回は国内組しかいない」と問われた森保一監督は、「来年の2026年北中米ワールドカップに向け、この大会でプレーした選手が代表の戦力に成長してもらえるように仕向けたい」と発言。1年後を視野に入れた強化の一環であることを改めて強調した。

 戦力の底上げと連覇の両にらみでいく構え。キャプテンの長友佑都(FC東京)も「優勝しか考えていない」と熱っぽく語っていた。

 ただ、今回はある意味、"寄せ集め"とも言える集団だけに、誰が先発メンバーに名を連ねるのかを予想するのは難しい部分がある。特にボランチ陣は川﨑颯太(京都)が海外移籍のために代表を辞退。稲垣祥(名古屋)、川辺駿(広島)、初代表の宇野禅斗(清水)の3人だけという手薄な状況。戦力的にやや不安という見方もできるのだ。

 ロサンゼルス五輪世代の佐藤龍之介(岡山)と大関友翔(川崎)もこのポジションには入れるが、今季の佐藤はウイングバックが主戦場であり、大関も2列目で出ることが多い。となれば、E-1の全3試合を上記3人で回すというのが現実的なところではないか。

 そこで、特に重責を担うであろう存在が、33歳の稲垣だ。今季の稲垣はJ1でここまで23試合に出場し、7ゴールとチーム最大の得点源となっている。「今、チームとしても僕が前に入っていけるような設計をしていて、ボールを集めてもらっている責任もあるので、『ボランチだから点を取って凄い』とかじゃない。もっともっと突き詰められる部分はあるかなと思います」と、本人はギラギラ感を押し出しながら、プレーしているのだ。
 
 代表でもそういった攻撃センスや得点力を遺憾なく発揮してほしいところだが、まずは攻守のつなぎ役としてゲームをコントロールし、チーム全体を安定化させ、スムーズな流れを作ることが最優先。それは、広島時代に当時のチームを率いていた森保監督のもとで、短期間ながらプレーした稲垣ならよく分かっていること。

 初戦は同じ森保門下生の後輩・川辺とスタートから出ると予想されるだけに、まずは良い連係・連動を見せ、日本が主導権を握って押し込めるような形に持ち込むことが肝要だ。

 稲垣にとって代表活動は2022年1月の国内組の合宿以来。ピッチに立ったのは、2021年3月の22年カタールW杯アジア最終予選・モンゴル戦の1試合だけで、実に4年以上も前である。

 第一次森保ジャパン時代の2022年春、本人は「自分がここから再びメンバーに滑り込もうと思うなら、Jリーグで二桁ゴールくらいの強烈なインパクトを残さないと難しいでしょう」と苦笑いしていたが、長い時を経て、再びチャンスが巡ってくるとは想像していなかったかもしれない。

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