【リオ五輪】2020年は主役に――トレーニングパートナーとして帯同する東京Vユースの高3・渡辺皓太とはどんな選手?

2016年07月19日 安藤隆人

今年5月にJリーグデビューを飾る。

リオ五輪代表のトレーニングパートナーとしてチームに帯同する渡辺。高校3年ながら、すでにJリーグデビューも果たした逸材だ。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 リオ五輪のトレーニングパートナーに選ばれ、すでにJリーグデビューも果たすなど、注目を集めている東京Vユースの高校3年生・渡辺皓太。
 
 一見、幼い顔立ちと決して大きくはない身体で、大人しそうな印象を与えるが、一度ピッチに入れば獰猛かつ冷静なハンターへと豹変する。
 
 常にピッチ全体を見渡し、危険なエリア、チャンスとなるエリアを嗅ぎ分け、そこに迷うことなくアプローチを掛ける。守備面では強靭な下半身を駆使して、球際に激しく行き、攻撃面では一瞬のスピードとドリブルセンス、そして多彩なパスを駆使して、相手の急所をえぐる。
 
 まさにハイスペックな能力を持つMFは、U-15日本代表から常に年代別代表に名を連ね、今年4月に2種登録されると、4月29日のJ2・10節の群馬戦でベンチ入りを果たし、翌11節の山形戦において途中出場でJリーグデビューを飾った。16節の山口戦、23節の長崎戦でも出場し、着実に経験を積んでいる。
 
「周りを冷静にさせる選手にならないといけない。相手が前から来てもいなせたり、どういう相手でも変わらずいつも通りのプレーができる選手が理想です」
 
 クールな頭脳を活かしたプレーをベースとしながらも、持ち味であるボールへの迫力、そして相手の急所を突くプレーをふんだんに表現する。その質はどんどん磨かれていき、連続した動きのなかで頭をフル稼働させながら、アクションを起こし続ける。今回、リオ五輪に臨む選手たちのトレーニングパートナーに選ばれたのも十分にうなづけるところだ。
 
 渡辺は7月18日から同20日までU-19日本代表の一員として、宮城合宿に参加した後、U-23日本代表に合流。リオ五輪で結果を出すべく、その一員としての重責を担う。当然、彼は『ただトレーニングの相手をしに行く』だけとは思ってはいない。より自分が成長し、次なる東京五輪、さらにその先にあるA代表に名を連ねるために、しっかりと自己表現し、存在価値を示さなければならない。
 
 優秀な人材を輩出し続けている東京Vユースが、次に世に送り出すのは、飄々とした野心家だ。トレーニングパートナーという肩書きをチャンスに変えるべく、意欲的に取り組むだろう。その姿は4年後の東京五輪へとつながっていくはずだ。
 
文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
 
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