選手権を沸かせたストライカーの第2章はここから。慶應大でオノノジュ慶吏が踏み出した一歩「もうワンランク上にレベルアップしないと」

2025年07月03日 安藤隆人

大学屈指のCBと激しいマッチアップ

アミノバタイル杯で復帰したオノノジュ。慶應大で「間違いなく成長できる」と語る。写真:安藤隆人

 第103回全国高校サッカー選手権大会において、7年ぶり2度目の選手権制覇を果たした前橋育英。苦戦の連続ながらも勝ち上がっていくなかで、FWオノノジュ慶吏の存在感はずば抜けていた。

 2年生の途中までは怪我に苦しんだが、一昨年度の選手権で2ゴールを叩き出してブレイクすると、3年生になると高円宮杯プレミアリーグEASTで得点王、選手権では3ゴール・2アシストをマークして優勝に貢献した。

 ナイジェリア人の父と日本人の母を持つ彼は、爆発的なスピードとフィジカルの強さに加え、足もとの技術も高く、裏抜けからのドリブルシュートやクロスへの飛び込み、相手を背負ってからの反転など多彩なラインブレイクも光る。

 一方で学力も優秀で、慶應義塾大も学力で狙えるほど学校の成績もずば抜けていた。

「小学生の時から慶應が凄いとは知っていて、高校に入ってから大学に行くなら慶應だと思っていました」と、寮生活を送りながらオンラインで塾の講座を受け、部屋にこもって勉強に集中するなど、文武両道を一切怠らなかった。3年生になって早くから進路を慶應にしぼり、FIT入試(総合型選抜)で秋に合格を掴み取った。
 
 選手権の熱狂から半年。オノノジュは慶應義塾大の黄色のユニホームを着てアミノバイタルカップのピッチに立った。初戦となったラウンド32の拓殖大戦で62分に交代出場し、2-1の勝利に貢献。続くラウンド16の流通経済大戦でも、1-1で迎えた延長前半4分に投入されると、大学屈指のCBである塩川桜道と激しいマッチアップを繰り広げた。

 試合は1-2で敗れ、総理大臣杯の結果は9・10位決定戦に回ると、明治大との出場権をかけた大一番では、2-1とリードしていた82分にピッチに送り出された。

 鋭い裏抜けでチームのベクトルを前向きにさせるだけでなく、前線からの猛プレスと相手を抑え込んでのボールキープで時間を作り出し、そのままタイムアップの時を迎えて全国大会出場に貢献した。

「選手権から、いろいろ考える時間はありました。決勝で戦った流通経済大柏の山野春太が流通経済大に進んでから、すぐにデビューして、すでに3ゴールを挙げているなど結果を出していくなかで、僕はリハビリ中でサッカーができなかったので、大きな刺激を受けていました」

 今年3月には、選手権での怪我の手術をし、大学サッカーをリハビリからスタートさせていた。そのなかで同期の活躍に刺激を受けて、「復帰したら絶対に結果で示そう」と意気込んでいた。

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