【横浜】喜田拓也がアーセナルに旅立つ盟友・浅野に送った手荒い“激励”

2016年07月18日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「点こそ取られなかったけど、要所で違いを作ってくるし、あの速さは間違いなく脅威」

喜田は壮行セレモニーを終えた浅野(10番)に歩み寄り、言葉をかける。同世代の選手にとって、浅野のアーセナル移籍は「最高の刺激」だと話す。 (C)J.LEGUE PHOTOS

[J1・第2ステージ4節] 広島2−2横浜 7月17日/Eスタ
 
「ちょっと、すみません」
 
 ミックスゾーン(取材エリア)で取材に応じてくれた喜田拓也が、何かを見つけてふっとそちらに向かって行く。彼の視線の先には、アーセナル移籍の壮行セレモニーを終え、ロッカールームに引き上げる浅野拓磨の姿があった。リオ五輪世代の"出世頭"に笑顔でひと言、ふた言をかけると、「頑張れよ」と言わんばかりに胸を叩き合って別れを告げた。

【広島2-2横浜 PHOTOギャラリー】

「お待たせしました」
 
 再び記者の下に戻ってきてくれた喜田に、「同年代の選手が世界的なビッグクラブへ羽ばたくことに思うところはあるか」と問うと、静かに浅野への想いを語り始めた。
 
「(U-23)代表で一緒にプレーしてきたなかで、本当に恐い選手だと分かっていた。拓磨にとって広島での最後のゲームでしたけど、そこは容赦なくというか、遠慮しないでガツガツ行こうと思っていました。絶対にやらせたくない――。それが拓磨への最大の『リスペクト』かなと」
 
 喜田(ボランチ)と浅野(シャドー)が直接マッチアップする機会は少なかった。それでも、喜田は中町公祐とともに広島のボールホルダーに厳しくチェック。さらに、クサビを引っ掛けて、浅野へのボール供給を寸断した。ゴールに迫られたのは57分のカウンターを受けた場面くらいで、シュートも1本に封じたが、浅野の恐さはひしひしと感じていたという。
 
「一緒にやってきたからこそ分かることもあったので、そこは絶対に潰さないと(笑)。でも、点こそ取られなかったですけど、要所要所で違いを作ってくるし、あの速さは間違いなく脅威ですよね」
 
 2012年、四日市中央工高で鮮烈な活躍を見せていた浅野に、横浜も獲得オファーを出していた。その後、浅野は複数クラブの中から広島を選んだわけだが、横浜ユース出身の喜田は、一緒にプレーできていたかもしれないことを懐かしそうに振り返った。
 
「遡れば、一緒にやれるチャンスはあった。拓磨もマリノスと広島(どちらに入るか)で悩んだろうし。もちろん一緒にプレーしたかったですけど、彼自身悩んで、ここまで成長して世界に行くというところで、今日は絶対勝って、マリノスが良いチームだなと思ってもらおうと決めていたんです。それが叶ったかどうかは分からないですけどね(苦笑)」

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