上田綺世のような『9番』ではないけど…自分は自分。鹿島学園の2年生ストライカーは「俺色に染めたろ」と我が道を行く

2025年06月26日 安藤隆人

「ドンっ!」と突き上げて、「ギュン!」と加速

鹿島学園の前線で存在感を放つ内海。力強い突破から「最後はドッカンと決める。そんな9番になっていきたい」。写真:安藤隆人

 驚異的だった。プリンスリーグ関東1部・第8節の鹿島学園vs.桐生第一の一戦で、鹿島学園の2年生ストライカー内海心太郎のプレーに目を奪われた。

 2トップの一角でスタメン出場した内海は、172センチとそこまで上背はないが、ずば抜けたバネでジャンプしたと思えば、空中でピタッと止まる。180センチを超える相手CBを背負いながらキープする際の姿勢が驚くほど低く、そこから「ドンっ!」と突き上げてドリブルしたり、ボールを周りに叩いて「ギュン!」と音が聞こえるような初速から裏のスペースに走れば、内蔵されたパワーを解き放って弾丸アタックを見せる。

 11分には自陣右サイドでボールを受けると、迷わずドリブルを仕掛けて高速カウンターを発動。グングン加速していく内海に桐生第一のDF3人がコースを限定しに来ると、「左サイドの伊藤(蒼空)君がフリーになったのが見えたので、よりゴールの確率が高い方を選びました」と、相手が引き付けてから右足で伊藤へグラウンダーのクロスを送り込む。これを伊藤が持ち込んで先制点を決めた。

 このシーンで、相手のDFが3枚も寄せてきたのは、内海が「最初はそのまま縦に行って『一発ドッカンと決めたろ!』と思いました」と口にしたように、1人で決め切る気満々でドリブルをしたことで、その迫力に引き寄せられてしまったからだった。

 その後、桐生第一に逆転を許し、結果は敗戦となってしまったが、76分に交代するまで、その身体能力とスピードは相手の脅威となっていた。

「彼は頑張れる。分かりやすく言うと『無理がきく』んです。そういう選手は大事だし、ここにしたたかさを覚えたら、もっと良くなる。今後さらに伸びるポテンシャルを持っていますね」
 
 試合後、チームを率いる鈴木雅人監督がこう評したように、まさに内海の身体操作は無理がきくという表現がぴったりと当てはまる。スポーツ万能の両親から受け継いだDNAも大きく関係しているのだろう。

「お父さんはずっと野球をやっていて、お母さんはソフトボールと陸上をやっていて、僕の家系の中で一番足が速いんです。お兄ちゃんも野球をやっていて、足がめちゃくちゃ速い。僕も小さい頃から走り回っていましたし、幼稚園の頃から、かけっこでは負けたことはありませんでした」

 大阪市鶴見区出身で、野球ではなくサッカーにハマった。「僕は上手い系ではなく、泥臭くやるタイプでした。人が無理なところで足が出るし、身体が動く。ゴール前のこぼれで足が出る、守備で足が出ることを武器にしていました」と身体能力の高さを活かし、中学進学時にはセレッソ大阪U-15にスカウトされて加入。中学3年生の時にはキャプテンにもなった。

 U-18の昇格こそ果たせなかったが、内海のもとには関西を中心に全国の強豪校から獲得オファーや練習参加オファーが殺到した。その数は12と、彼の能力を高く評価するチームは多くあった。

「セレッソでオファーが来ている学校の一覧表をもらうのですが、その順番が早くオファーが来た順なんです。一番上が鹿島学園だったので、そこでピンと来ましたし、お世話になっていた1学年上の清水(朔玖)さんも進学していた。練習参加をして、ここが一番だと決めました」

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