アメリカで開催されているクラブ・ワールドカップで、グループステージも３巡目に突入。各組で熾烈なバトルが繰り広げられるなか、"死の組"と注目を集めたのがグループBだ。

　欧州王者パリ・サンジェルマン、南米王者ボタフォゴ、スペインの強豪アトレティコ・マドリー、そして地元のシアトル・サウンダーズが争った。

　現地６月23日の12時に同時キックオフでパリSGとシアトル、ボタフォゴとアトレティコが激突。ディエゴ・シメオネ監督が率いるアトレティコは、ロサンゼルス近郊のパサデナにあるローズボウルでボタフォゴ戦に挑んだ。

　パリSGとの欧州対決で０－４の大敗を喫したアトレティコにとって、パリSGが順当にシアトルを破って勝点６になると想定した場合、ボタフォゴに勝利することはもちろん、３点差以上で勝利する必要があった。

　その理由はやや複雑になる。複数のチームが勝点で並んだ場合、当該チームの勝点で上回る方が上の順位になるのだが、ここまでの２試合でパリSGはボタフォゴに、アトレティコはパリSGに負けており、３試合目でアトレティコが勝つと、３チームが食い合う構図になり、その時点で優劣は決まらない。

　そこで当該チームの得失点差が大事になるが、最下位のシアトルは含まれず、パリSGに１－０で勝利しているボタフォゴに対して、３点差をつけないと逆転することができない。

　そうした状況をお互いが分かっているなかで、ボタフォゴのレナト・パイバ監督は４－１－４－１のブロックを固めて、相手の強力なアタッカー陣を封じにきた。
 

　アトレティコはノルウェー代表FWアレクサンデル・スルロットとアルゼンチン代表FWフリアン・アルバレスの２トップで相手ディフェンスに圧力をかけながら、指揮官の息子でもある仕掛け人のジュリアーノ・シメオネや運動量の豊富なコナー・ギャラガーがかわるがわるボタフォゴのゴールに襲いかかる。

　しかし、ボタフォゴは巨漢の守護神ジョン・ヴィクトルを中心に粘り強く守りながら、時折、鋭いカウンターを繰り出して、スロベニア代表の守護神ヤン・オブラクに難しい対応を迫った。

　早く１点目が欲しいアトレティコだが、ボタフォゴのカウンターが非常に厄介だった。相手は、パリSG戦で決勝ゴールを挙げたイゴール・ジェズスに縦パスを入れて二列目が前向きにボールを受けたり、小柄なスピードスターであるアーサーが縦にボールを運んで、惜しいチャンスに持ち込むシーンもあった。

　アトレティコとしてはボールを握れてはいても、相手が攻撃側になるたびに全体を下げさせられるため、連続性のある分厚い攻撃を繰り出せない。しかも、ボタフォゴは基本ブロックで構えて、後ろのバランスを崩さないまま効率良く攻めてくるため、得意のカウンターをほとんど出せなかった。

　そうした試合展開で、アトレティコをより苦しくしたのが、前半アディショナルタイムの１つのジャッジだった。

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