必要以上に相手にボールを持たせ、引きこもったところでやられた。CWCで黒星発進の浦和。インテル戦はもっとアグレッシブに【現地発】

2025年06月18日 河治良幸

浦和の問題が象徴的に出た12分の失点シーン

リーベルに3失点完敗。渡邊は「もっと全員がビビらずやらなきゃいけない」と語った。(C)J.LEAGUE

 浦和レッズはクラブ・ワールドカップ(CWC)の初戦で、アルゼンチンのリーベル・プレートに1-3で敗れた。

 シンプルに大会の大事な初戦を落としたという事実を厳しく受け止めるべきだろう。ただ、チーム力の差が絶望的にあったわけではないし、勝機がまったくなかったわけでもない。

「最初の2、3分間は、私たちが望んでいたようにアグレッシブにプレーできました。その後は、相手にボールをハーフコートで長く持たせすぎました。相手は楽にゲームの重心を変えていました。この時点では、少し精神面もチームのプレーに影響を与えていたと思います」

 マチェイ・スコルジャ監督が振り返るように、スタートで浦和が前から行ったのをリーベルが受け止めると、そこからしばらくは完全にリーベルのペースになった。

 その理由はシンプルなものではないかもしれない。ボランチでスタメン起用されたサミュエル・グスタフソンも「やはり緊張感だったり、もちろん相手のプレッシャーだったりっていうところは非常にありました。それは経験が左右する部分もあった」と振り返る。

 この時間帯の浦和の問題が、象徴的に出てしまったのが12分の失点シーンだった。それはリーベルのクオリティを示すものでもある。ハイラインでボールを回すリーベルに対して、浦和は4-4-2のミドルブロックを敷いてコンパクトに守ったが、リーベルは左スローインからの流れで、アンカーのエンソ・ペレスから右センターバックのヘルマン ペッセージャに繋ぎ、そこから右ワイドのフランコ・マスタントゥオーノに展開された。

 マスタントゥオーノがボールを受けるのとほぼ同時に、外側をゴンサロ・モンティエルが追い越して同サイドに浦和の守備を引きつけると、マスタントゥオーノはマークに来た渡邊凌磨を中に外して、前線からプレスバックしてきた松尾佑介との合間をドリブルで進んだ。
 
 そこにボランチの安居海渡、グスタフソンも引っ張られたところで、マスタントゥオーノは見事なサイドチェンジパスをマルコス・アクーニャに送る。浦和はスライドが間に合わず、アクーニャにそのまま決定的なクロスを上げられてしまう。

 右サイドバックの石原広教が一人で対応に行くが、アクーニャはシンプルに正確な左足のクロスを上げると、ゴール前に左ウイングから中央に流れていたファクンド・コリーディオがヘッドで合わせた。

 ちょうどセンターバックのダニーロ・ボザとマリウス・ホイブラーテンの間でフリーにしてしまっているが、1トップのセバスティアン・ドリウッシがホイブラーテンのすぐ右脇を狙ったことで、一瞬付けなくなったのが決め手となった。

 このシーンに関して、クロスを上げられたサイドの金子拓郎も「まずサイドチェンジさせないこともそうですし、されてからの中のクロス対応が大事になるっていうのは話してたので。あの1本をやられてしまったっていうのは、非常に自分たちの課題かなと思います」と語るが、守備局面の対応に言及するだけでは問題の本質は見えてこない。

 浦和が引き過ぎた状態で、リーベルの戦術的な狙いがハマったシーンでもあったが、こうした場面でのプレー精度の高さ、周りの選手もそれを分かって動いていることが大きい。逆に浦和は一つひとつのプレーに狙いはあっても、ズレが生じるためにリーベルのボールになってしまうことが多かった。

【動画】バックパスを狙われて...浦和が後半開始早々に2失点目

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