急にではない。ずっとあった。水沼宏太が詳細に明かした豪州移籍の背景「やっと来たな」「ルーマニアでの経験を基にとにかく――」

2025年06月14日 有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

21歳でルーマニアで入団テストを受けた過去

今年1月に横浜F・マリノスからニューカッスル・ジェッツに移籍した水沼。6月13日に契約延長が発表され、新シーズンも豪州でプレーすることが決まった。写真:滝川敏之

 水沼宏太は2025年1月、横浜F・マリノスからオーストラリアのニューカッスル・ジェッツに移籍した。35歳になる直前、プロ18年目にして初の海外挑戦だった。

 元日本代表MF水沼貴史氏の長男である水沼は、父が偉大な足跡を残したマリノスでプロキャリアをスタート。それ以来、栃木SC、サガン鳥栖、FC東京、セレッソ大阪と渡り歩き、2020年から再びトリコロールを着て戦っていた。

 なぜこのタイミングで日本を飛び出したのか。海の向こうで何を見て、何を感じたのか。海外での1シーズン目を終えた今、さすらいの元気印にじっくり話を訊いた(第1回/全7回)。

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 ある時から急にではない。海外挑戦への意欲はプロ入り当初からずっとあった。もっと成長したい――シンプルな想いからだ。事実、水沼には21歳でルーマニア1部ウニベルシタテア・クルージュの入団テストを受けた過去がある。
 
「やっぱりサッカー選手である以上、『上を目指していく』想いが常にあります。僕がルーマニアに行った時は、マリノスから栃木に移籍して、J2を経験した後にもう1つ上の段階として、J2で連続で試合に出ることができたタイミングでした。『プロのスタート』って感じになったところではあったんですけど、『もっともっと』という想いがあり、海外のチームを探していました。

 今ほど誰もが、海外に行ける状況ではなかったので中々難しくて、ルーマニアには2012年の1月から1か月ほどトライアウトみたいな感じで行きました。その年はロンドンオリンピックがあったので、それに僕自身も出たかったし、『何か一気にドーンって成長できる環境はないか』ってところで探していたんです。

 結局契約には至らず鳥栖に行ったんですけど、そこでJ1の試合に出れて『日本で、Jリーグでこれだけ出れて幸せだな』って気持ちもあったので、一瞬は海外というよりは、とにかく自分がサッカー選手として試合に出続けて成長することを意識してやっていたので、ちょっと海外は頭から離れていました。でも心のどこかではやっぱり想いがあったんですよね。なので、セレッソで天皇杯とルヴァンカップで優勝して、マリノスでも優勝して、日本代表にも入れて、またその想いが沸々と湧いてきたという、それが背景かなと思います」

 ニューカッスル・ジェッツからオファーを貰ったのは、今年の1月に入ってから。「元々マリノスに行きたい気持ちを伝えていたので、『行ってこい』と背中を押してもらった」という。

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