【FC東京】リオ五輪代表の室屋がJ1デビュー戦を自己評価。「ファイトする部分はできたけど…」

2016年07月10日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

大きなミスもなく、まさに上々のJ1デビュー戦を飾る。

甲府戦でJ1デビューを果たした室屋(6番)。右SBとしてフル出場し、攻守とも安定したパフォーマンスを見せた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 リオ五輪の本大会メンバーに選ばれた室屋成に、ようやくJ1デビューの瞬間がやってきた。
 
 左足第5中足骨骨折から復帰後、J3や五輪代表戦で実戦を重ねてきた室屋は、甲府戦に向けた紅白戦で主力組としてプレー。そこでキレのある動きや、攻守で安定感を見せたことに加え、城福浩監督から先発を示唆するコメントも飛び出したことから、先発が有力視されていた。
 
 迎えたこの試合で、戦前の予想どおり本職の右SBとしてスタメンに名を連ねると、立ち上がりから臆することなくアグレッシブに仕掛けた。
 
「どんどん裏のスペースを狙っていけというのは監督からも言われていた」と言うように、積極的に高いポジショニングを取りマッチアップした甲府の松橋優をけん制。その姿勢がさっそくチームに良い流れを呼び込み、開始6分に自らの仕掛けから獲得したCKから先制点が生まれた。
 
「前節の鳥栖戦で、東京が悔しい負け方をしたので、どんな形でも絶対勝点3を取ってやろうと思って試合に臨んだ」という強い覚悟を持っていた室屋は、本業の守備でも奮闘する。
 
 印象的だったのが、後半早々、敵陣でのCKが撥ね返され相手のカウンターに移りかけた際のプレーだ。相手のゴール前から全力疾走し、ハーフウェーライン付近でボールホルダーの河本明人に追いつくと、鋭いスライディングでボールをピンチの芽を摘み取った。危うくピンチを招きかけそうな場面だっただけに、このワンプレーは実に効果的だった。
 
 その後も、「周りの選手が上手くて、自分がプレーしやすくできるように助けてくれた」という状況にも恵まれながら、安定感を随所で発揮。「入団早々に怪我をしてしまって、チームにもスタッフにも迷惑をかけて、悔しい気持ちでずっとリハビリをしていた。このピッチに立てて、勝利に貢献することができて本当にうれしい」と、試合後のヒーローインタビューで語った若きSBは、大きなミスもなく、まさに上々のJ1デビュー戦を飾った。

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