逸材ピアツァの争奪戦はユーベがミランを一歩引き離す!

2016年07月12日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

少なくとも本人はユーベ行きを望んでいる。

クロアチア代表としてEURO2016のピッチに立ったピアツァ。新シーズンからセリエA挑戦か? (C) Getty Images

 母は柔道のチャンピオン、父はレスリング選手。息子が選んだ戦いの場所は……105メートル×68メートルの芝生のピッチだった。
 
 これがクロアチア代表の一員としてEURO2016にも参戦したディナモ・ザグレブに所属する21歳のアタッカー、マルコ・ピアツァのストーリーだ。
 
 育成に定評がある地元ザグレブのロコモティーバというクラブ(同じくクロアチア代表のマルセロ・ブロゾビッチ、アンドレイ・クラマリッチもここの出身)で育ったピアツァは、そのガラガラのスタジアムでも全力を出し切ってプレーすることを覚えた。
 
 そして、その後に移籍したディナモ、そしてなによりEURO2016では、スタジアムを埋めた満員の観客の視線を一身に集めながらプレーする快感を知った。自身を取り巻く状況がこうして大きく変わっても、ピアツァはまったく変わらないままだ。常に謙虚さを保ち、ピッチの外では決して羽目を外すことがない。
 
 少年時代のアイドルはロナウジーニョ。夢はヨーロッパのビッグクラブでプレーすること。そんなピアツァを巡っていま、ユベントス、ミランというイタリアの名門が熾烈な争奪戦を繰り広げている。
 
 つい数週間前は2年前からマークしていたミランが優位に立っていたが、ここにきてユーベが巻き返し、少なくとも本人はビアンコネーロ行きを望んでいる。
 
 すでにユーベのジュゼッペ・マロッタGDとその片腕であるファビオ・パラティチSDは、支払い方法を含めたディナモ・ザグレブとの具体的な交渉に入っている。
 
 しかし、まだミランはディナモ・ザグレブに完全に「NO」と言われたわけではなく、アドリア―ノ・ガッリアーニ副会長は獲得を諦めてはいない。
 
 はたして、ピアツァの争奪戦を制するのは、ユーベかそれともミランか。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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