「壁ができた瞬間に入ったなと」川崎MF山本悠樹が決めた見事すぎるFKの裏側

2025年05月15日 本田健介(サッカーダイジェスト)

GKとの駆け引きに勝つ

絶妙なFKを決めた山本。貴重な同点ゴールをもたらした。(C)SOCCER DIGEST

[J1第14節]川崎 2-1 横浜FC/5月14日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

 開始4分にCKから失点。ACLエリートで準優勝を果たすも、その前後のリーグ戦で6戦勝利がなかった川崎は横浜FCとの一戦も出鼻を挫かれた。

 しかしそんなチームを救ってみせたのがボランチの山本悠樹だ。技術力の詰まった長短のパスでチームを操り、チャンスを作り出すと、33分、見事なFKで同点弾を決めてみせた。

 ゴール右で得たFK。横浜FCサイドはクロスを警戒して壁は1枚。その瞬間、山本はゴールを確信していたという。

「意識したのは壁の位置とキーパーの立ち位置と悟られないようにすること。そこまでは準備の段階で完璧でした。壁ができた段階ではコースがあいていたので、壁ができた瞬間に入ったなと」

 山本はGKに悟られないよう味方に合わせる素振りを続けながら、狙っていたのはゴールニアサイド。右足で放ったシュートは、ひとり立っていた壁の外側を回り、虚を突かれたGKの手をかすめてネットに吸い込まれた。まさにしてやったりの一発であった。

 角度が限られたなかでニアサイドを抜くFKは「ACLと学生リーグで1本」と成功本数は限られていた。もっとも昨年末のACLエリートのリーグステージ・山東泰山戦で似た形を決めており、感触は良かった。

「(相手GK市川暉記は)ACLを見ているのかなと思っていましたが、見ていなかったのかなと。見ていたら(壁を)1枚にしてこないだろうし、ポジションもあいていたので」

【動画】川崎・山本の絶妙FK弾
 ビハインドの時間が長かった前半は川崎がボールを握りながら進める展開も、なかなかゴールを奪えなかった。それでも山本は「ブロックを作る相手に対しては我慢比べだと思うので、こっちが焦らないこと。後ろのCBには特に焦って出さないようにと話していました。あれで振られ続けるのが一番ブロックを作っている側としては厳しいので。それはACLで僕らも経験済み。焦らずにやるだけだったかなと思います」と振り返る。

 後半は横浜FCの反撃に遭う場面もあったが、84分の勝ち越し弾となる相手のオウンゴールも山本のロングフィードが起点だった。

 2-1の勝利に貢献した山本は手応えも語った。

「ACLの前と後も、Jリーグで勝てていなかったので、どんな形でも今のチームは勝点3が必要だったと思います。すごく大きな1勝になりますし、監督も試合前に今日から順位を上げていくんだぞと話していたので、キッカケになった意味で大きな一勝だったと思います」

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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