「合言葉は『タケを救え!』」ソシエダに発生した“大惨事”。久保建英の退団を番記者は懸念「流出すれば崩壊」「ピッチ上で幸せそうに見えない」【現地発】

2025年05月13日 ミケル・レカルデ

数週間前から死んだも同然

アトレティコ戦ではひとり気を吐いた久保。(C)Getty Images

「最後に出る者は電気を消せ」

 ウルグアイが経験した最大級の危機の後に、モンテビデオの空港に描かれた言葉だ。いまレアル・ソシエダが発しているサインと同じだ。

 耐え難く、息の詰まるような状況が、残る3試合で全てを吹き飛ばす脅威となっている。そのうち2試合はホームゲームで行われ、最悪の結末を迎える可能性もある。

 ソシエダはラ・リーガ第35節、アトレティコ・マドリーの本拠地、リヤド・エア・メトロポリターノで無様な醜態をさらした。我々が目にしたのは、闘志も、プライドも、クオリティも、自信もないチームだ。針を刺せば血を流すのではなく、オルチャータ(スペインで飲まれるアーモンドミルクのような飲み物)が溢れ出るような状態だ。

 イマノル・アルグアシル監督の今シーズン限りでの退任が発表されて以来、選手たちは指揮官のために欧州カップ戦の出場権の獲得を目指すと声を揃える中での、この大惨事だ。おまけにその屈辱を与えたのが、アレクサンデル・スルロットだった。

 2シーズン前に12ゴールを挙げてソシエダをチャンピオンズリーグ(CL)出場に導いたストライカーをクラブはその夏、完全移籍での獲得を見送った。現政権最大の失策と言っても過言ではない。そのいわくつきの男が、開始30分で4得点を挙げ、イマノル・ラ・レアルの最後の夢を粉々に砕いた。

 スルロットはソシエダの弱点をすべてさらけ出し、もはや上位の実力がないことを証明した。彼がゴールを重ねている間、ソシエダは一体何をしていたのか?彼らは数週間前から死んだも同然で、復調の兆しはまるで見られない。

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 しかし、災難はそれだけでは終わらなかった。キックオフ数時間前、マルティン・スビメンディが今夏にソシエダを退団し、アーセナルに移籍することが決定的となった。彼のためを思えば、アーセナルのファンがこの試合を見なかったことを願うばかりだ。

 そんな絶望的な状況の中でも、負の連鎖を断ち切ろうと、1人勇気と情熱を注いだ選手がいた。言うまでもなくタケ・クボ(久保建英)だ。いつもの通りボールを要求し、ドリブル突破を仕掛け、決して屈することなく立ち向かった。

しかし、1人では何もできない。しかも気持ちが空回りして広範囲に動き過ぎた。ポジションを下げてボールを触ろうとし、その1つのシーンでコントロールが乱れたところを突かれて相手にボールを奪われ、直後に2点目を決められた。

 また他の多くのチームメイトと同様に、このシーズン終盤にきて、フィジカルが限界を迎えている。好調時の圧倒的で止まらないプレーからは程遠く、だからなのかどこか自信なさげに見える。
 

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