「現状維持では成長は望めない」CLでインテルに屈したバルサの未来を番記者が予見「選手たちは敗北感を抱いていなかった」【現地発コラム】

2025年05月11日 エル・パイス紙

微調整に留まるのではなく、チーム全体で取り組んでいく必要がある

2戦合計6ー7でインテルに敗れたバルセロナ。(C)Getty Images

 バルセロナがインテル相手にチャンピオンズリーグ(CL)準決勝で敗退した。しかし選手たちはその時、敗北感を抱いていなかった。自分たちが不完全で、若く守備が脆弱であることを自覚しているが、同時にリベンジへの道筋を明確に見定めている。

 サッカーは相手より1点多くゴールを決めれば勝ちだ——ヨハン・クライフのこの名言の1つは、彼自身が築き上げた「ドリームチーム」と結びつき、以後のバルサのインスピレーションの源になってきた。

 ただ、クライフ・バルサは攻撃的なマインドを掲げ、時折抑えきれない勢いを見せる一方で、ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ1992-93シーズンのCLで、CSKAモスクワに敗れて2回戦で姿を消すなど、格下相手に取りこぼす不安定なところも特徴の1つだった。

 インテルはCSKAとは全く異なる。22-23シーズンにCLのフアイナリストになって以来、欧州でも恐れられる存在だった。その意味では、インテルの近年の歩みは、バルサにとって指針となる。ハンジ・フリック監督の高い要求水準に応えるには、現状維持では組織と個の両面でさらなる成長は望めない。

 例えば、ロナルド・アラウホが失点に絡んだ第2レグの3点目と4点目が示すのは、個のミスが過剰に晒されている現状だ。これを改善するには、ラインコントロールの精度をさらに追及していく以外にない。

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 同じく守備面では、インテルの守護神、ヤン・ゾマーの素晴らしいパフォーマンスを目の当たりにすると、GKの役割というものにもっと焦点を当ててもいいように思えてくる。これらの課題は、微調整に留まるのではなく、チーム全体で取り組んでいく必要がある。

 ライプツィヒからダニ・オルモが加わった以外は、無冠に終わった昨シーズンと同じスカッドで戦ったチームが、CLを含むすべてのコンペティションでタイトル争いに加わったのだ。若いチームがまだまだ伸びしろを残していることは明らかだ。

 限られた選手層で1シーズンを戦い抜くには、心身ともに大きな消耗を強いる。ハイライン・ハイプレス戦術を高次元で機能させるために、各選手にトップコンディションを維持することを求める強度の高いフリックサッカーならなおさらだ。

 このシーズン終盤、判断力が鈍る傾向が目立ったのは疲労の蓄積が関係していたはずだ。今シーズンの選手たちの頑張りは驚嘆に値する。ただだからこそ来シーズン、その快進撃がフロックではなく、継続可能であることを証明しなければならない。

 フリック・バルサのサッカーは娯楽性、スピード感、自己犠牲の精神に溢れ、プレーレベルも卓越している。欧州随一の守備力を誇るインテルもセカンドレグの後半のようにその波状攻撃を前にタジタジにさせられていた。

 ラミネ・ヤマルの魔法とペドリのゲームメイクを軸に、ラ・マシア育ちの若手選手に支えられ、これからも諦めない姿勢を貫き続けるはずだ。

「不可能はない」と豪語するジョアン・ラポルタ会長の野心にも引っ張られて、フリック・バルサの未来は明るい。

文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルセロナ番)

翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。

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