広島の新システムを影で支えるスーパーリベロ千葉の「不変の哲学」

2016年07月04日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「『形(システム)が変わるから、サッカーが変わる』というのが一番ダメ」

千葉はリベロとして最終ラインを統率。抜群の安定感を見せ、新システムを影で支えている。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1・第2ステージ1節]広島3-0磐田 7月2日/Eスタ
 
 第1ステージ16節・浦和戦の試合途中から「3-5-2」を導入して以降、広島は負け知らず(3連勝)だ。新システムは従来の2ボランチから1枚減らし、前線の人数を増やしている分、カウンターを食らう確率は高くなる。最終ラインはこれまで以上に神経を研ぎ澄まさなければならないが、千葉和彦はリベロとして熟練のパフォーマンスで安定感をもたらしている。
 
 磐田戦では、元イングランド代表のジェイとマッチアップ。190センチの大型FW相手に力負けせず、時には身体を入れ替えてクサビを撥ね返すなど、駆け引きの巧さが光った。相手エースは試合後、「決定機をほとんど作ることができず、ボックスの外から打つミドルレンジのシュートが多くなってしまった」と反省の弁を述べたが、対する千葉は「仕事をさせなかったが?」という問いに周囲のサポートがあってこそのディフェンスだと強調した。
 
「(ジェイは)懐の深い選手だし、収まった時には2人目、3人目の動きには注意していました。まあ、僕と言うより、チーム全体で上手く抑えられたかなと。点も比較的早い段階で入りましたし、自分たちのペースで出来たと思います」
 
 1ボランチとなり、水本裕貴や佐々木翔の故障離脱で、左のストッパーはボランチの森﨑和幸が務めている。最終ラインを統率する立場として、役割は変わったのか。「マークの受け渡しや、流れてくる選手に関してはコミュニケーションを取っている」(千葉)一方で、大きな変化はなく、むしろ"変わらないこと"が大事だと説く。
 
「(1ボランチになっても)特に変えることはないですよ。『形(システム)が変わるから、サッカーが変わる』というのが一番ダメ。形が変わっても、自分たちのやることを変えずにやりたい。1ボランチだから、2ボランチだからじゃなく、相手を見ながらやれているのが今はいいのかなと思います」

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