岩波かそれとも――手倉森監督を最後まで悩ませた中谷が”18枠漏れ”の心境を語る

2016年07月03日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

4節ぶりの勝利に笑みを浮かべながらも…。

新潟戦では身体を張ったシュートストップにいつも以上の気迫を感じた中谷。本人は「悔しさをぶつけた」と口にした。写真:徳原隆元

[J1・第2ステージ1節]柏 1-0 神戸 7月2日/柏

 7月1日にリオ五輪代表メンバー発表会見が行なわれ、18名の本大会出場メンバーと、惜しくも18枠から外れた4名のバックアップメンバーが発表された。
 
 その会見で、リオ五輪日本代表の手倉森誠監督にこんな質問が飛んだ。
 
――メンバー選考について、最後まで悩んだところはどこなのか。
 
 手倉森監督は、ひとりの選手の名前を出し、こう答えた。
 
「選ぶのが難しかったのは、南アフリカ戦で選手それぞれのパフォーマンスを見せつけられた時に、ここから絞らなければいけないのかという思いにかられた。全ての選手に対して思い悩みました。

 そのなかでもね、高いパフォーマンスを見せてくれたDF中谷進之介。プラスここ(南アフリカ戦)には来なかった岩波(拓也/神戸)の回復状況で、こればかりは予測での計算しかできないので、そこを決断するにあたって自分としては慎重だったし大きな決断だったなと思います」
 
 南アフリカ戦でフル出場し、猛アピールをした中谷は手倉森監督を最後まで悩ませた。しかし結局本大会メンバーの18枠に入ることはできず、バックアップメンバーに登録された。

 J1リーグ第2ステージ1節・新潟戦後、4節ぶりの勝利を飾り、中谷は笑みを浮かべながらも、メンバーから漏れた悔しさを口にした。
 
 「正直いろいろな想いがあったので、試合前は悔しさをぶつけようという気持ちでしたけど、試合が終わってもまだ悔しさっていうのもあって、でも本当に勝てて良かったです」

 手の届く距離にあったからこそ、それがこぼれ落ちたショックは大きい。簡単には切り替えられないだろう。ただ、悔しさを感じながらも21歳のDFは未来を見据える。
 
 「正直落ちたことが悔しい、18人に入れなかったことが。テグ(手倉森)さんが会見で自分の名前を出してくれましたけど、本当にあと一歩だったと思う。その一歩はなにが足りなかったのかというのを考えないといけない。それにバックアップメンバーに選ばれたからには、良い準備をして待ち続けるしかない。自分の成長のためには、そのあと一歩なにが足りなかったかというのをちゃんと考えて、これから頑張りたいと思います」
 
 あと一歩を埋めるために――。中谷は力強い眼差しで成長を誓った。
 
取材・文:多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)
 
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