流経大柏の1年生FW熊木虎太郎が衝撃のデビュー! 強靭なメンタルでより厳しい競争に「覚悟はできています」

2025年04月15日 安藤隆人

鮮やかな対角のシュートを突き刺す

ゴールという目に見える結果でアピールした熊木。写真:安藤隆人

 プレミアリーグEAST第2節。開幕戦で勝利している流通経済大柏は、昨年のインターハイ王者の昌平を3-0で粉砕した。

 この試合でダメ押しの3点目を決めたのが、"高校デビュー"を飾った1年生ストライカーの熊木虎太郎だ。

 2-0で迎えた80分に2戦連発のFW金子琉久に代わって投入されると、その3分後だった。左サイドでの鮮やかな連係でペナルティエリアに接近したMF古川蒼真のパスを受けた熊木は、寄せてきたDFをスピードに乗ったドリブルでかわしてカットイン。

「最初はニア(ゴール右隅)を狙って打とうとしたのですが、相手キーパーがそっちに飛んでいたので、逆(ゴール左)を狙いました」と、冷静にGKの動きを見て、かつインパクトの瞬間に判断を変えて右足の鮮やかな対角のシュートをゴールに突き刺した。

「ジュニアユースの時のコーチに、『高校の最初の1年間は失うものは何もないんだから思い切ってやれ』と言われているので、そこを意識して落ち着いてプレーできました」

 試合後にそう言って笑顔を見せた熊木は、スピードとシュートセンスだけではなく、ルーキーとは思えない度胸の持ち主でもあった。

 中学時代は、神奈川県3部リーグに所属するエストレーラFCインファンチルでプレーしていた。当時からスピードとずば抜けた得点感覚を発揮しており、中学1、2年生の時は街クラブ中心の県トレセンに入っていた。中3になると横浜F・マリノス、川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、横浜FCなど強豪Jクラブのアカデミーの選手たちも混じったなかでの県トレセンにも選出された。

「本当にレベルの高い選手たちばかりのなかで、なぜか僕が残ることができたのは、大きな自信につながりました。メンタリティは自信があるので、自分のプレーを発揮することに集中できました」

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 物怖じしない性格は、高体連トップレベルの環境に飛び込んでも一切変わらなかった。3月に練習参加をした時、ちょうどチームは、全体をコンパクトにし、ショートパスと3人目、4人目の動きを駆使して相手を崩していくサッカーを磨き上げている最中だった。

「ジュニアユースの時は僕が中心で、俺がいく、俺がやるという環境だったので、周りと細かい連係を取りながらのプレーは難しさを感じました。でも、逆に周りとの距離感が近いので、触っておけば繋がるし、自分がフリーになりやすい、シュートが打ちやすいと感じたので、あまり深く考えすぎないで簡単にプレーすることを心がけました」

 考え方をシンプルにし、混乱することなく自分の持ち味を発揮することにマインドセットしたからこそ、すぐに順応をして見せた。

 その姿に榎本雅大監督も「慣れるスピードが早いし、堂々としている。なかなか見ないメンタリティをしているし、本当に頼もしい存在」と話し、昌平戦の2日前にトップチームに引き上げてすぐに起用した。

 その期待に最高の形で答えた熊木は、「ここからが勝負です」と力強く口にする。

「ルーキーリーグでも、プリンスリーグ(関東2部)でも、プレミアリーグでも、出た試合では1点でも多く取りたいし、試合を決められる選手になりたい。年代別代表に選ばれても臆さずにやれる自信があるので、選んでほしいです。でも、そのためにはここで選手としての力、人間性を身につけていきたいと思っています」

 当然、デビュー戦での活躍でライバルとなる上級生たちの目の色も変わる。「覚悟はできています」と、ここからはより厳しい競争が待っていることを理解しているからこそ、熊木は強靭なメンタルを持って、さらに這い上がっていくつもりだ。嬉しい高校初ゴールは、その高らかな狼煙でもあった。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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