【リオ五輪代表】室屋の後塵を拝した松原。「あれを“アピール”と捉えていいのか…」

2016年06月30日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「こうして(最後に)戻って来られて良かった。あとは発表を待つだけ」

ファーで待ち構える豊川にピンポイントクロスを挙げた88分のシーンが、南アフリカ戦での最初にして唯一の見せ場だった。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ2016]日本4-1南アフリカ/6月29日/アルウィン
 
 松原健に出番が回って来たのは3点リードで迎えた67分。亀川諒史との交代でピッチに立ち、室屋成に代わって右SBに入った(室屋は左SBにスライド)。しかし、後半のボール支配率は38%、終盤の75分以降に限っては29.2%と南アフリカに押し込まれた影響で、持ち味の攻撃参加は威力が半減。逆に、フィジカルに長けた相手との1対1で後手を踏んでしまった。

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 この日、最初にして唯一の見せ場は88分の攻撃だった。伊東純也とのワンツーで右サイドを駆け上がると、ゴール前にアーリークロスを供給。ファーで待ち構える豊川雄太にピンポイントで合わせてみせた(結果は豊川のヘッドが好セーブに遭い得点ならず)。もっとも、ゴールにはつながらなかったこと、そして自分はもっとやれるという想いからか、試合後に当該シーンについて問われた松原の表情は実に厳しかった。
 
「あれ(88分のプレー)が"スタンダード"でできないといけない。"アピール"と捉えていいのかというと、正直難しいところがあります」
 
 SBは左サイドのスペシャリストである藤春廣輝、CBとの兼任が可能な塩谷司がオーバーエイジに内定している。18人の最終メンバーのなか、U-23世代のSBに割り当てられる枠は「2」が妥当なラインだ。故障明けの室屋は矢島慎也のゴールをアシストし、左右のサイドをこなしてフル出場するなど復活をアピール。亀川もPKを献上したとはいえ、15年7月のコスタリカ戦以降はコンスタントに招集されてきた。それだけに、南アフリカ戦のパフォーマンスで立場を覆したと見るのは難しいだろう。
 
「こうして(最後に)戻って来られて良かった」
 
 南アフリカ戦でプレーできた感想について訊かれた際にそう答えたが、おそらく心の中ではアピールできなかった悔しさを押し殺すのに必死だったに違いない。「あとは発表を待つだけ」と話す松原の元に"逆転の"吉報は届くのか。運命の行方を見守りたい。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
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