「直感的な部分が多いですが…」早稲田大の頭脳派MF山市秀翔はなぜ川崎加入を決断した?「僕の価値観にもマッチしていました」

2025年04月04日 安藤隆人

“いてほしいところにいて、ミスなくプレーしてくれる”存在

デンソーカップサッカー日韓定期戦では腕章を巻いてプレー。攻守に際立つ活躍を見せた。写真:安藤隆人

 4月4日、川崎フロンターレが2026年の新戦力として、山市秀翔(早稲田大4年)の加入内定を発表した。精度の高い左足のキックと試合の流れを読む力に長け、ボランチ、トップ下の位置から豊富な運動量を駆使して攻撃にテンポを作り出して行く頭脳派MFだ。

 3月に行なわれたデンソーカップサッカー日韓定期戦では、全日本大学選抜のキャプテンを担い、韓国学生選抜を相手に神出鬼没のプレーを見せた。常にボールに関わりながら、アタッカー陣へ精度の高いパスを供給するだけではなく、的確なサポートを見せて、2次・3次攻撃につなげる。守備面では素早いプレスバックとスペースを埋める動きで韓国の攻撃の起点を奪った。

 大会MVPこそ決勝点を奪ったDF常藤奏(中央大)が選出されたが、90分を通しての働きを見れば、山市は間違いなく影のMVPだった。

 高校時代からそのプレーはインテリジェンスに溢れていた。中村俊輔、藤本淳吾、福森晃斗、西川潤ら多くのレフティをプロに輩出してきた桐光学園の攻撃の中枢として、山市は常に"いてほしいところにいて、ミスなくプレーしてくれる"と周りから信頼される存在だった。桐光学園の鈴木勝大監督も「ピッチ上の監督。よく見えている」と絶賛するほど、プレーに波がなく、正確性が高かった。
 
 早稲田大では1年生ながら主軸として活躍。しかし、チームはこのシーズンに関東大学リーグで2部に降格。一昨年、昨年と1部昇格を逃し、今年も2部リーグとなってしまったが、山市は「どのカテゴリーでも自分の成長を考えて、前向きに取り組むことを大事にしています」と、高い意識を持ち続け、個人としてだけではなく、チームとしてもリーダーシップを発揮し続けてきた。だからこそ、全日本学生選抜に選ばれ、かつキャプテンという重責も託される存在となった。

 そして、同時に複数のJ1強豪クラブが争奪戦を展開。練習に参加したのは6クラブに渡るほどの大人気ぶりを見せたなかで、山市は「一番熱意を感じた」と川崎入りを決断した。

「日本代表に入って、ワールドカップに出場して優勝することが最終的な目標なので、そこから逆算して、直感的な部分が多いですが、フロンターレで努力することで、その道につながると思いました。今年から鬼木達監督から長谷部茂利監督になって、鬼木さんの頃のスタイルはありながらも、そこにハードワークする要素が加わった。ハードワークというベースの上にうまさがあるという形が、僕の価値観にもマッチしていました」

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