【EURO】イタリア対スペイン戦で異例の事態! MOMは檄を飛ばしつづけた“12人目の選手”

2016年06月29日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

コンテの得票は全体の52パーセントを占めた。

ピッチサイドから檄を飛ばし、選手たちを鼓舞しつづけたコンテ監督。その姿は、まさしく闘将だった。(C)Getty Images

 通常はもっとも活躍した選手が選ばれるマン・オブ・ザ・マッチに、監督が選出されるという異例の事態が起きた。無敵艦隊のスペインがついに沈んだEURO2016決勝トーナメント1回戦で、なんとイタリア代表のアントニオ・コンテ監督がマン・オブ・ザ・マッチに輝いたのだ。
 
 視聴者参加型のマン・オブ・ザ・マッチ選出を実施しているのは、デンマークの放送局『TV2』だ。視聴者のひとりが、おそらく試合終了間際の得票率を伝える映像を撮影したのだろう。ツイッターにアップされたその画像によると、コンテの得票は全体の52パーセントを占めており、2位以下を大きく引き離している。
 
 ちなみに、2位はビッグセーブを連発したスペインの守護神ダビド・デ・ヘアで22パーセント、3位はイタリアの先制ゴールを決めたジョルジョ・キエッリーニが19パーセントで続いている。
 
 ピッチに立たない監督のマン・オブ・ザ・マッチ選出は異例だが、実のところスペイン戦のコンテは、終始ピッチサイドに立っていた。立っていたと言っても、大人しく戦況を見守っていたわけではない。常にせわしなく動きながら、激しい手振りや身振りを交え、大声で指示を送り、檄を飛ばしていたのだ。しかも、テクニカルエリアは完全に無視して、タッチライン際を右へ、左へ、その動きは止まらない。
 
 そんなコンテの情熱的な振る舞いは、たしかに目立っていた。細かい表情やアクションを伝えるアップの映像に加えて、スーツ姿で動き回る試合中のコンテの様子は頻繁に映像に映り込んでいたのだ。
 
 極めつけは75分。自分のほうにコロコロと転がってきたボールを思い切り蹴って、観客席のほうに飛ばしたシーンだ。もはや監督というよりは闘将。イタリア代表の12人目の選手のようだった。デンマークの視聴者がどんな気持ちで投票したかまでは分からないが、こういうマン・オブ・ザ・マッチの選出もありかもしれない。
 
 結果的にはイタリアの完勝だったとはいえ、EUROの大会3連覇を目指していたスペインを一捻りしたわけではない。おそらく死にものぐるいで戦い抜いた結果が、4年前のEURO決勝で惨敗を喫した因縁の相手へのリベンジだったのだ。
 
 試合開始直後は激しい雨に見舞われながら、屋根のあるベンチに下がらず、終了の笛が鳴るまでピッチ上の選手たちを鼓舞しつづけたコンテの姿は、イタリアがいかに必死だったかの象徴だったに違いない。
 
文:ワールドサッカーダイジェスト編集部
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