アドバイスや指導ではない。中村俊輔コーチはタイミングを慎重に見極めて“対話”。「選手たちも、俺らもコツコツとやる」

2025年03月23日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「結局、グラウンドに入ったら、自分で考えなきゃいけない」

選手たちにまず「聞く」ことを大事にしている俊輔コーチ。写真:永島裕基

 アドバイスや助言ではないという。「アドバイスって、選手の時に選手に対して、するみたいな感じだよね」。では指導?「それも違うかな」。

 横浜FCでコーチ3年目の中村俊輔が、適切なフレーズを探す。「まあ、どっちでもいいよ」とも。いずれにしても重視しているのは「チームを良くするために」だ。

 トレーニングを見ていても、ふとした時に俊輔コーチは選手に声をかけている。試合中もそうなのだろう。ただ伝える時のタイミングは、「本人の邪魔にならないとか、頭がある程度、すっきりしていたほうがいいのか、一番タイムリーな時に言ったほうがいいのか」など、慎重に見極めている。

 自身の経験がある。「選手の感覚を、そのまま続けている感じ。今、言ってもイライラしてるんだろうな、判断できないかなとか。次のプレーになっている時は、言っても入ってこないでしょ」。

 そして、話しかける側の俊輔コーチは、まず「聞く」という。「こうしたけど、どういう意図があったの? とか」。そのうえで「こういうのもあったんじゃない?」と角度を変えてみたりする。

 だからアドバイスでも指導でもないのだろう。言うなれば「対話」で、選手の"引き出し"を増やそうとしているように見える。「一番は、自分で考えてやらないと」との考えがあるからではないか。

「結局、グラウンドに入ったら、自分で考えなきゃいけない。自分らで話して、自分らで作らなければならないから。だから、できることは少ないよ、こっちは。その時に言っても、同じ場面、同じ瞬間が来ることはほぼないから」
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 最後は選手が考え、判断し、実践してほしいと思っている。そうできるように促し、うまくいかなければ「俺の責任でもあるから」と、根気よく続ける。

「選手たちもいろんなことをコツコツとやっているし、俺らもコツコツとやる。で、成長スピードを速くしないといけない」

 日々の地道な作業で、選手を、チームをより高みに引き上げられるように、俊輔コーチも勤しんでいる。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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