【千葉】中位で苦しむチームを救うキーマンは? 輝きを増す10番に感じるわずかな光明

2016年06月27日 本田健介(サッカーダイジェスト)

ホームで北九州に敗れ、スタジアムにはブーイングがこだます。

北九州に敗れ固い表情で引き上げる選手たち。サポーターからの叱咤激励を受けた。(C)J.LEAGUE PHOTOS

「なんか見ていて面白くないよね」
「うん、仕掛ける動きは少ないし、ワクワクするプレーが全然ない」
 
 ボールボーイの子だろうか、ハーフタイムにトイレに寄った際にこんな会話が聞こえてきた。
 
 J2の第20節、北九州とホームで対戦した千葉は、終盤に1点を返すも1-2で敗れた。
 
 ワクワクするプレーがない――これはいかにも的を射た言葉であり、この日の千葉は攻撃に流動性がなく、ゴールの匂いを感じさせられないまま時間だけを費した。「自分がやるんだという自信を持って積極的にプレーすること」と関塚監督に送り出された後半も流れは変わらず。オナイウ、井出と攻撃的な選手の投入も奏功しなかった。
 
 ボランチのアランダが直前の練習で負傷し、CBの近藤が試合開始直後に負傷交代するアクシデントに見舞われたものの、21位の北九州に敗れるという結果は、試合後のサポーターの大ブーイングへとつながった。
 
 ただ、痛恨の敗戦のなか光明がなかったわけではない。それはボランチとして攻撃にリズムを加えようと奮闘した長澤の姿だった。今季、序盤戦は中盤2列目でアタッカーとしての能力を発揮していた10番は、最近ではボランチとしてゲーム作りのタスクを担っている。
 
「パスしかできない選手ではなくて、ボールも運べる」と自らを評すそのプレースタイルはまさに万能型という言葉が相応しい。
 
 この日は、前半からワンタッチでボールをはたき、リターンをもらおうと積極的に動き回った。だが、残念なことに彼のもとへ良いパスは返って来ず、前線に駆け上がってもボールが出て来ない。試合後、長澤は自身のパフォーマンスをこう振り返った。
 
「上手いこと前に入っていけていたので、ポンと足もとに落としてくれたらいけるシーンは何度かあったとは思います。でも、そこは相手の状況もありますし、続けていくしかないと思います。選手自身はズレたなというのは分かっていると思うので、自分もミスした時は分かるので、そこは技術やフィーリングの問題もありますが、改善していきたいです」
 
 そして、チームの課題も口にする。
 
「前に人数をかけている時のゴール前の精度を上げたいですし、リスクマネジメントも高めたいです。自分たちでボールを持ってバイタルに進入する回数はJ2のなかで多いと思いますが、そこからゴールにつなげられる回数が少ない。精度をもっと上げなくてはいけないです」
 

次ページ鍵は攻撃の精度向上だ。

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