露呈したビルドアップの課題。エスパ指揮官はどう修正するか「前進できた時に適切な判断をしてもらいたい」

2025年03月17日 岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

中断明けの湘南戦に注目

清水の秋葉監督が京都戦で露呈したビルドアップの課題に言及。(C)SOCCER DIGEST

 3月16日、清水はJ1第6節で京都とIAIスタジアム日本平で対戦し、1-2で敗れた。

 今季のホーム初黒星となった一戦の後、清水の秋葉忠宏監督はチームに喝を入れた。

「ホームで絶対負けない、というエネルギーを、もっと見せることができたはず。加えて、メンタルだけで勝てるほどJ1が甘くないのも理解しています。メンタリティ、フィジカル、テクニック、タクティクス、すべてが揃わなければ勝てない。ホームでは必ず勝つという姿勢を、次こそ見せたいと思います」

 秋葉監督の言うように、J1の舞台で負けないためにはメンタルや姿勢だけでなく、個々の成長と戦術の浸透も重要だ。

 戦術面に目を向けると、清水は開幕からの6試合で、相手に対応するためにシステムや可変の形を変えてきた。4-2-3-1と3-4-2-1を使い分け、敵の布陣によって4バックを維持する時と、サイドハーフを最終ラインに加えて5バック化する時がある。

 京都戦は後者だった。4-2-3-1から守備時は左サイドハーフの西原源樹が最終ラインに落ちて5バックに。空いた左前方のスペースはボランチのマテウス・ブエノがスライドして埋め、トップ下の乾貴士を前線に残して5-3-2のブロックを組んだ。

 守備はおおよそ狙い通りだったと言える。4-3-3のウイングが中央寄りに立って大外からSBが攻撃参加してくる京都に対し、清水は5枚で対応。西原が落ちて空いた左の空間も、M・ブエノのカバーで大きな穴にならず。ブロックを崩される場面は少なく、指揮官も「全体としてやられる回数は多くなかった」と手応えを得ていた。
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 一方、ビルドアップには課題があった。後方からボールをつなぐ際、乾やM・ブエノが最終ラインに近い位置でボールに関わりながら前進するシーンが多いが、彼らがマークを受けた時の回避方法が定まっていないように見える。

 特に、長短の高精度キックで局面を打開できる左SB山原怜音を欠き、前進の手段をひとつ失った京都戦では、明確に弱点となっていた。実際、35分のPK献上を含めれば、2失点とも自陣でのボールロストが起点だ。

 不用意な失点を減らすためにも、また乾やM・ブエノら技巧派の選手をより効果的に活かすためにも、ビルドアップの修正は必須だろう。秋葉監督も同様の課題を感じているうえで、改善に自信を見せる。

「ここから代表ウィークで約2週間の中断期間に入るので、我々、コーチ陣の腕の見せ所です。今回(京都戦)は『ハーフウェーラインまでは外回しで前進しよう』と伝えていたうえで、1点ビハインドになってから焦って中を使いすぎてしまった。

 右サイドバックの北爪(健吾)が何度か個で運んでくれましたが、他にも外からなら剥がせる場面もあったはずなので、もう一度徹底すべきだと感じました。中央に刺すのか、サイドから仕掛けるのかは、前進できた時に適切な判断をしてもらいたい」

 清水にとって京都戦は、基本に立ち返るきっかけとなったはずだ。まずはセーフティにSB経由の外回しでプレスを回避し、中央が空いた時に初めて使う。乾やM・ブエノも、適切なタイミングで使われれば、さらに輝きを増すだろう。

 秋葉監督は宣言通りにビルドアップを修正できるか。中断明けの3月29日に行なわれる次節の湘南戦に注目したい。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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