鬼木采配恐るべし。鈴木優磨のボランチ起用でドローに持ち込む「起点を作ることはできると思った」【鹿島】

2025年03月17日 渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)

指揮官は「結果論ですよ」と苦笑いも

試合中のアクシデントに上手く対処した鬼木監督。写真:福冨倖希

[J1第6節]鹿島 1-1 浦和/3月16日/県立カシマサッカースタジアム

 鹿島対浦和の一戦。前半の終了間際に松本泰志のゴールで浦和が先手を奪い、土壇場で鹿島の知念慶が同点弾を奪う。結果は1-1。同カードは、22年から7戦続けてドローとなった。

 両者譲らぬ試合で、両指揮官の采配が光った。

 浦和のマチェイ・スコルジャ監督が鹿島攻略のポイントにしていたのが、鹿島の2トップとダブルボランチへの対策だった。

 鈴木優磨とレオ・セアラの2トップを「コントロールすることが不可欠」とし、最終ラインで連動して対応し、強力な得点源を封じた。

 さらに、柴崎岳と樋口雄太へは「(松本)泰志とサミュエル(・グスタフソン)の2枚で対処できた」と手応えを口にする。
【動画】知念が強烈ヘッド! 浦和戦の同点弾
 一方の鬼木達監督も相手の狙いを察して、選手交代で変化をつける。56分には柴崎を含めて3枚替え。さらに76分にはプレースキッカーとしても重宝されている樋口も下げ、ボランチの構成を知念と舩橋佑に変更した。

 そこで徐々に流れを引き寄せると、当初は左サイドに投入したチャヴリッチと鈴木を入れ替え、チャヴリッチとL・セアラの2トップに。左に開いた鈴木を起点に攻勢を強めた。

 しかし、スコルジャ監督もそこは想定内。「リードしている状況で(CBを主戦場とする)井上黎生人を右SBで起用する準備もしていた」と、1対1や空中戦に強い井上で鈴木を封じにかかった。

 そんな状況のなかで、鹿島にアクシデントが発生。井上が投入された直後に知念が足を痛めてしまったのだ。

 それでも、逆境に上手く対処したのが鬼木監督だった。

「知念に痛みがあったので、前線で」とボランチの知念をトップに配置。さらに左サイドの鈴木をボランチに下げ、L・セアラと交代していた徳田誉を左に置いた。

「優磨に関しては左をやったり。もともと下りるのも好きな選手なので、思い切ってボランチにして、そこから入っていく。そこでも起点を作ることはできると思った」

 鬼木監督は「結果論ですよ」と苦笑いするものの、終盤の同点弾は、ボランチに下りた鈴木がFKを獲得し、セットプレーの流れからこぼれ球にも反応。鈴木がつないだボールを植田直通が折り返し、知念が頭で叩き込む。

 まさにズバリな采配で勝点1をもぎ取った。

取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)

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