広島に関わる誰もが心を揺さぶられた。「11番」の移籍と新助っ人の加入。一層の危機感と緊張感、競争力でさらなる高みを目ざす集団に

2025年03月01日 寺田弘幸

選手の激しい出入りは避けられない

新加入のジェルマン。サッカーIQの高さは折り紙付きだ。写真:寺田弘幸

 欧州でハイクラスな実績を残してきたミヒャエル・スキッベ監督が指揮を執り始めてから、広島のフットボールの基準は日本の枠をはみ出し、チームはタイトルを争う力を付け、選手個々も飛躍的な成長を遂げて、昨夏には川村拓夢と大橋祐紀が渡欧した。

 時を同じくしてエディオンピースウイング広島が開場し、クラブの規模も一気に大きくなったことで、選手の獲得も欧州で実績のある選手に目が向くようになり、スキッベ監督のネームバリューやセハット・ウマルコーチの人脈も巧みに活かして有力な選手を獲得し、チームの競争力はさらに高まっている。

 チームが強くなり、クラブが大きくなっていく最中で、選手の出入りが激しいことは避けられないことなのだろう。

 2月27日、クラブは主にフランスで活躍してきたストライカーのヴァレール・ジェルマンの獲得を、そして満田誠がガンバ大阪へ期限付き移籍することも発表した。サンフレッチェに関わる誰もが心を大きく揺さぶられる一日となった。

 翌28日、週末の横浜FC戦に向けてトレーニングを行ない、スキッベ監督は新たな出会いと別れについてコメントした。
 
「ジェルマンの加入は本当に嬉しく思います。彼はトルガイ(・アルスラン)みたいなキャリアをヨーロッパで積んでる選手ですし、トルガイがチームにもたらしてくれたようなことをもたらしてくれるんじゃないかと期待しています」

「私が来て、1シーズン目と2シーズン目は、本当にマコ(満田)がオフェンスの全てだった。彼がセットプレーを蹴って、彼が前からプレスに5度追いくらいしていた。マコはみんなの心の中にすごく強い思い出として残っている選手だと思います。

 ただ、怪我をして戻ってきてから調子を戻せなかったところがあったと思うし、今シーズンは彼とチームがうまく噛み合わないようになったところがありました。そういうことも考えると、ここで悩んでいるよりも新しい形でもう1回、サッカーと向き合うことの方が重要だし、全体的にはポジティブな移籍なんじゃないかなと思います」

 競争に勝てなくなり、出場機会を求めた満田の健闘を祈り、ジェルマンが新しくチームにもたらしてくれるものに期待する。そうやって広島はどんどんと高みを目ざしていこうとしている。

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