「自分が決めていれば…」苦しみを乗り越えて奪った韓国戦の先制弾。FW神田奏真を支えた船越優蔵監督の言葉【現地発】

2025年02月21日 松尾祐希

勝点1獲得で準々決勝進出

U-20日本代表は韓国と対戦。神田がチームを準々決勝に導く先制ゴールを挙げた。写真:佐藤博之

[U-20アジア杯]日本 1-1 韓国/2月20日/Shenzhen Youth Football Training Base Pitch 1

 引き分け以上でグループステージ突破、負ければ3位シリアの結果次第。U-20日本代表はU-20アジアカップのグループステージ最終節で、すでにノックアウトステージ進出を決めているU-20韓国代表と対戦した。

 相手は2連勝を飾っており、メンバーを大幅に変更。エースで10番を背負うMFキム・テウォン(ポルティモネンセU-23)を温存するなど、U-20W杯出場がかかる準々決勝を念頭に置いて戦ってきた。蓋を開けても激しさはなく、ゲームのテンポはスロー。そうした状況下で日本は、28分にFW神田奏真(川崎)のゴールで先制に成功した。

 以降はギアを上げず、うまくコントロールをしながら時計の針を進めていく。試合終了間際に途中出場のキム・テウォンにネットを揺らされたが、勝点1を獲得して準々決勝進出を決めた。

 最後の最後に追い付かれたため後味の悪さも残ったが、この試合最大の収穫は神田にゴールが生まれたことだ。

 船越ジャパン発足当初から活動に参加しており、ストライカーとして大きな期待をかけられてきた。昨年9月に行なわれたアジアカップ予選でも躍動。キルギスとの最終節ではチームを救う同点弾を決めるなど、要所で点取り屋としての仕事を果たしてきた。

 静岡学園高時代から得点力が武器で、クロスに対しての反応は抜群。狡猾な動きで相手の背後に抜けるなど、ストライカーとしての能力はロス五輪世代でも群を抜く。プロ1年目となった昨シーズンはリーグ戦で出場機会を得られなかったものの、昨年11月27日のアジアチャンピオンズリーグエリート第5節・ブリーラム戦(4−0)でプロデビュー。その試合で初ゴールを記録するなど、徐々にプロの水に慣れてきた様子がうかがえる。
【動画】石井久継のクロスに最後詰めたのは神田奏真!
 そのなかで迎えた今回のアジア杯。神田はグループステージ第2節のシリア戦で今大会初出場を果たすと、後半開始からの出場ながら精力的に動いてチャンスに絡んだ。しかし、結果は無得点。とりわけ悔やんだのが、1−2で迎えた73分の場面。DF布施克真(日大藤沢高)の右クロスにニアで反応。神田らしい動き出しの良さから右足で合わせる。ビッグチャンスだったが、惜しくもGKのファインセーブに阻まれてゴールを逃した。その後に追いついてチームは最悪の結果を逃れたが、神田の心には大きな悔しさが残ったという。

「自分が決めていれば、シリア戦で(グループステージ)突破が決まっていた」

 試合後の夜も悔しさが残り、もやもやした気持ちは晴れない――。後悔を抱えていた神田を救ったのが、船越優蔵監督のサポートだった。

「気持ち的に難しい部分があったんですけど、船越さんが声をかけてくれたんです。そういうところでやってやるぞという気持ちが大きくなった」(神田)

 指揮官から19日の練習や韓国戦前にエールを贈られ、神田の闘志に火がついた。

「ストライカーなので、『お前には得点を期待している』と、もうそれだけです。彼もやっぱりチャンスを外したのもあるんで。すごくやってやろうっていう気持ちを感じていた。さすがだなと思います」とは船越監督の言葉。そして、この日韓戦で名誉挽回のチャンスが訪れる。28分にクロスボールが上がると、即座に反応。「合わせるのが一番良かったんですけど、GKがこぼすことはあると思っていた」と相手GKが弾いたところを詰め、抜け目なくネットを揺らした。

 苦しんだ先に奪った今大会初ゴール。ようやく神田の表情に笑顔が戻った。しかし、これで終わりではない。W杯出場が懸かる準々決勝が残っている。23日のイラン戦では勝利に導くゴールを決め、本当の意味でヒーローになってみせる。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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