ロス五輪の主役候補・GK荒木琉偉が挑むU-20アジア杯。“飛び級”の17歳守護神を支える同ポジション2人との絆と競争力

2025年02月17日 松尾祐希

「絶対に無失点で終える気持ちしかない」

タイ戦に先発した荒木。完封勝利に貢献した。(C)AFC

 GKはある意味、過酷だ。試合に出場できるのはたったひとり。フィールドプレーヤーのように本職とは異なるポジションでプレーできるわけではなく、途中からピッチに立てる確率も限りなく低い。出番があるとしたら、GKが怪我か退場になったケースか。二番手や三番手は、どんなに悔しい想いを味わっても、陰からチームを支える役割を担わなければならない。

 現在、中国で開催されているU-20アジアカップ(今年9月に開幕するU-20ワールドカップのアジア最終予選も兼ねる)で、2月14日にグループステージ第1節のタイ戦(3-0)を戦ったU-20日本代表でも、同じように激しいポジション争いが展開され、勝ち抜いたひとりがゴールマウスを守っている。

 それが今季からプロ契約を結んだ17歳のGK荒木琉偉(G大阪)だ。2007年生まれの高校3年生で、一世代下からの選出。2年後のU-20W杯にも出場できる権利を持っており、ロス五輪の主役候補として船越優蔵監督や高原寿康GKコーチからの評価も高い。

 194センチのサイズを活かしたリーチの長さとハイボールへの対応が最大の武器。キックの安定感も増しており、攻撃面でも重要な役割を担っている。タイ戦でも持ち味を発揮し、クロスに対しても強気な姿勢でボールを処理。「若干、緊張した」と苦笑いを浮かべたように初戦特有の重圧を味わったが、雰囲気に飲まれずにチームの完封勝利に大きく貢献した。

 試合後はグラウンドで仲間と喜びを分かち合い、正GKの座を争う後藤亘(FC東京)、中村圭佑(東京V)とも熱い抱擁を交わした。彼らの存在は荒木にとっても大きく、自身がピッチに立つうえで、覚悟と責任を強くする理由のひとつになっていると話す。
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「一番手として使ってもらっているということで、GKチームの代表でもある。恥ずかしいプレーはできないし、責任もある。絶対に無失点で終える気持ちしかない」

 普段から密に連係し、意見交換も活発に交わす間柄。ふたりから学ぶことも多く、日々のトレーニングでも刺激を受けている。

「亘はU-17代表でも一緒にやってきて、練習からシュートストップの凄さは感じている。そのプレーの一つひとつでチームのスイッチが入るんです。レベルが高いので練習の質を上げてくれている。圭佑はプレーだけではなく副キャプテンとしてまとめてくれるし、緊張したり、うまくいっていない時に落ち着かせるような声をたくさんかけてくれる。本当にリスペクトしている存在」

 荒木よりひとつ上の後藤とは、一昨年7月のU-17アジア杯で共闘しており、その時は後藤がレギュラーで躍動した。大会最優秀GK賞を受賞し、同年11月のU-17W杯でも活躍した実力者。切磋琢磨しながらお互いを高め合えるライバルであり、自分の成長を語るうえで欠かせない。一方、ふたつ上の中村はプレーはもちろん、ピッチ外で抜群の人間性を発揮。どんな状況にも動じないメンタリティとリーダーシップで、荒木の心も支えている。

 ライバルであり、友でもある。GKグループの絆は深く、切磋琢磨して高め合える関係性だ。最年少の荒木にとって、先輩たちの存在は大きい。負けられない戦いが続くが、背番号23は仲間の想いを背負ってピッチに立つ。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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