Jクラブ組に負けられない。CBで唯一の大学生の意地。次戦の相手はフィジカルに優れるシリア。塩川桜道のパワフルな守備が不可欠だ【U-20アジア杯】

2025年02月16日 松尾祐希

「3人を上回るようなセンターバックになりたい」

貪欲な姿勢でサッカーと向き合う塩川。シリア戦での奮闘にも期待がかかる。写真:松尾祐希

 キャリアや現在の所属クラブは関係ない。自分の未来を切り拓く方法はただひとつ。一歩ずつ経験を積み上げていき、己の力に変えていくしかない。流通経済大のCB塩川桜道がさらなる成長を期し、アジアの戦いに身を投じている。

 船越優蔵監督が率いるU-20日本代表の一員として、中国で開催されているU-20アジアカップ(今年9月に開幕するU-20ワールドカップのアジア最終予選も兼ねる)に出場している塩川は、グループステージ初戦となった14日のタイ戦(3-0)で先発フル出場を果たした。

 左CBで起用され、キャプテンのDF市原吏音とともに最終ラインを牽引。「初戦ということで緊張した。でも、絶対に負けられないし、日本を背負って中国に来ている。緊張とか言っている場合ではないけど、自分の持っている力を全部出すつもりで臨んだ」と、初戦の難しさを感じつつも、競り合いの強さと正確なフィードをいかんなく発揮し、勝利に貢献した。

 浦和レッズのジュニアユースから流経大柏に進学。高校時代は大型CBとして将来を嘱望され、流通経済大で技を磨くこととなった。船越ジャパンでは立ち上げ当初からコアメンバーとして活動し、昨年9月のアジアカップ予選にも出場。今年の春に大学2年生を迎える186センチの守備者の評価は右肩上がりで、自信を深めつつある。

 手応えを掴んでいる一方で、今の自分に満足しているわけではない。その理由を塩川はこう語る。

「初戦で先発出場させてもらったことは嬉しいけど、同じポジションで招集されたリオンや(土屋)櫂大、喜多壱也はもうプロの世界にいる。刺激をもらっていて、彼らに自分も追いつかないといけない。そういう存在でもあるけど、ライバルでもある。3人の良いところを全部見習って、3人を上回るようなセンターバックになりたい」
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 もっとうまくなりたい――。貪欲な姿勢でサッカーと向き合うなかで、今年1月には初めてプロのキャンプに参加。J1クラブで過ごし、改めて自分の課題と向き合えた。

「技術的なところや、自分が武器だと思っていた空中戦が、トップトップのレベルで見たらまだ飛び抜けているわけではないということに気付かされた。足りないところが見えて、良い刺激をめちゃくちゃもらったので、そこでの学びを代表で出したい」

 具体的には、ビルドアップ面でパスやサイドチェンジのスピードで改善の余地を残し、スライドもプロの世界では今までにない速さだった。そうした経験が肥やしになり、さらなる高みを目ざすうえで基準になっている。

 次なる相手は、フィジカルに特徴を持つシリア。昨春のヨルダン遠征で一度対戦して2-2で引き分けたが、その力は侮れない。サイズがある選手が揃っており、デュエルの強さも目をひく。

 そうした相手との対戦で、塩川のパワフルな守備が必要不可欠となる。「自分の価値を示したい」と言い切ったCBの挑戦はまだ始まったばかり。成長スピードを加速させるべく、2戦目に向けて準備を進めていく。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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