孤軍奮闘した久保建英が謝罪とお辞儀。ソシエダ番記者が見た“異例の光景”。クボ依存には苦言「1人で何でもできるはずがない」【現地発】

2025年01月30日 ミケル・レカルデ

スタンドの一角から名前が連呼されると雰囲気が和らいだ

ヘタフェ戦の言動が反響を呼んだ久保。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 タケ・クボ(久保建英)がいかに特別な選手であるかはこれまで何度も触れてきたが、その彼がまたやってくれた、敵地でのカディス戦でレアル・ソシエダのユニホームを着てデビューを果たした2022年8月14日、決勝ゴールを挙げて、1-0の勝利に貢献したタケは、メディアの取材に応じた後、遠路はるばる駆け付けた1000人近いチュリウルディンのファンに近づき、お辞儀をした。

 それから約3年半後、ソシエダはタケがサン・セバスティアンに降り立って以来、格下のヘタフェ相手に0-3という最も苦い敗北の一つを喫した。試合後のフラッシュインタビューが終わった頃、すでにチームメイトはピッチから退散していたが、タケはファンが陣取るスタンドに向かってお辞儀をした。

 もちろん2つのお辞儀は全く意味合いが異なる。一方は自己紹介も兼ねて応援に感謝の気持ちを伝えるため、もう一方は自分たちのパフォーマンスを謝罪したものだった。

「僕たちにとって恥ずべき試合だった。サポーターは拍手を送ってくれるが、僕たちはそれに値しない。良くなかったし、デュエルにも勝てなかった。いいところが何もなかった」とタケはインタビューで反省の弁を口にしていた。

 サッカーチームを謝罪していて、いつも感じることの一つが、自己批判する選手がいかに少ないかということだ。もちろんこのような惨敗の後は、誰もが心の底では「ひどいプレーだった」と思っていることだろう。しかし、実際には反省する素振りが感じられないため、外からは他人事で済ませようとしているように見えてしまう。

【動画】久保がキレキレのドリブル突破から好機創出!
 しかしタケはそうしたサッカー選手の不文律に反して、素直に謝罪した。チームでもっとも素晴らしいプレーを見せたのは彼だったにもかかわらず、だ。観客はタケの奮闘に拍手を贈り、名前を連呼した。他の選手は、近年アノエタで耳にしなかったブーイングを受けた中での特筆すべき出来事だった。

 それにしてもソシエダは安定感に乏しいチームに成り下がってしまった。ここ3試合は特に重傷で、タケの孤軍奮闘ばかりが目立っている。しかしサイドを切り裂き、クロスを上げ、ゴールネットを揺らしと1人で何でもできるはずがない。不可能だ。

 このビジャレアル戦も、低調な開始30分を経て、"タケハリケーン"が炸裂。33分、38分、44分と立て続けに決定機をお膳立てした。しかし他の選手が相変わらずの決定力不足を露呈し、1点は遠いまま。後半も流れは変わらず、ボールを奪い返すや否やボックス内に侵入し、思い切りよく左足を振るも、サイドネットに外れたアディショナルタイムのシュートは、タケの怒りの感情がにじみ出ていた。

 その後だった。スタジアム全体が不穏な空気に包まれる中、スタンドの一角からその名前が連呼されると、雰囲気が和らいだ。

「クボ!クボ!クボ!」

取材・文●ミケル・レカルデ(ノティシアス・デ・ギプスコア)
翻訳●下村正幸

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